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「政治的暴力はアメリカの日常だ」在任中に暗殺された大統領は4人、議員や候補者も標的に...

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月23日 17時48分

弾丸は胸に命中したが、上着の胸ポケットに入っていた金属製の眼鏡ケースと分厚い演説原稿のおかげで致命傷には至らなかった。ルーズベルトは病院に行くことを拒み、そのまま演説を続けた。

68年6月にはカリフォルニア州の大統領予備選に勝利したロバート・ケネディ上院議員が、サーハン・ベシャラ・サーハンに暗殺された。72年5月には、人種隔離を支持していたアラバマ州のジョージ・ウォレス知事が大統領選に向けた遊説中に銃撃され、下半身不随になった。

暴力は連邦議会にも影響を及ぼしてきた。エール大学の歴史学者ジョアン・フリーマンは、南北戦争前の議会では暴力が日常的だったと指摘する。

1856年、奴隷制を支持するサウスカロライナ州選出のプレストン・ブルックス下院議員がマサチューセッツ州選出のチャールズ・サムナー上院議員に杖で殴りかかった有名な事件は、決して例外ではなかったという。

1830〜60年に議会などで起きた暴力事件は70件を超えると、フリーマンは書いている。

議事堂襲撃の後に増えた脅迫

一般市民が議員に暴力を振るう事件も起きている。

1935年9月には、大統領選に立候補する可能性のあったヒューイ・ロング上院議員(民主党)が、カール・ワイスという男に殺害された。

2011年1月には、ガブリエル・ギフォーズ下院議員(民主党)が銃撃されて重傷を負った。この事件では彼女のスタッフ1人を含む6人が死亡した。

さまざまな運動の指導者も暴力の標的にされてきた。1968年4月には公民権運動のリーダーだったマーチン・ルーサー・キング牧師が殺害された。その3年前には、急進的な黒人解放運動指導者であるマルコムXが暗殺されている。

地方レベルの選挙でもひどい暴力事件が起きている。

人種隔離法が施行されていた時代の南部では、黒人の投票権を剝奪するため、制度化された暴力が横行していた。ミシシッピ州などに住む黒人は、投票権登録をするために裁判所へ行くには身に危険が及ぶことを知っていた。

今年は、64年にミシシッピ州で起きたフリーダム・サマー事件から60年の節目でもある。

公民権運動の活動家3人が、白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)と、彼らと結託した警官に殺害された事件だ。活動家らが黒人の投票権登録を進める運動を行っていたことへの反発だった。

翌65年3月には、投票時の人種差別を禁止する投票権法の制定を求めて行進していた活動家らを、警官と白人の暴徒が襲った「血の日曜日事件」が発生。78年11月にはサンフランシスコでジョージ・モスコーニ市長と、同性愛を公言していたハーベイ・ミルク市政委員が射殺された。

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