自分を「侮辱」し続けたバンスを、なぜトランプは副大統領候補に? 大統領選でマイナスになる要素も
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月24日 17時35分
バンスは中西部の工業地帯で支持拡大に貢献するはずだ。ミシガン、ウィスコンシン両州で勝てば当選はほぼ確実だろう。39歳のバンスを相棒に選ぶことには、高齢のバイデンとの対比を強調する効果もある。(編集部注:バイデンは7月21日に選挙戦からの撤退を表明した)
バンス起用の決め手になったトランプらしい2つの理由
ただし、大統領選の勝利が最大の目標ならバンス起用は最善の選択ではなかった。中絶やウクライナ問題に対する極端なスタンスはアメリカ人の多数派と相いれない。
加えてトランプ銃撃事件をバイデン現大統領の責任だと主張するなど、対決色をあおる言動はトランプ時代の分断を目立たせるだけだ。この事件でトランプに集まる同情や民主党の混乱といった有利な材料の効果を弱める公算が大きい。
バンスは今やトランプ主義の正式な後継者だ。穏健派や伝統的な共和党員の最後の抵抗に火を付け、同党支持者の投票率を低下させる恐れもある。
結局、バンス起用の決め手は、いかにもトランプらしい2つの理由なのだろう。1つは、人々の怒りをあおる能力が抜群なこと、もう1つは、トランプが考える「共和党内の裏切り者たち」が他の候補を推していたことだ。
もっとも党大会での演説やメディアへの発言から明らかなように、トランプの頭の中で重要人物はただ1人、本人だけだ。バンスのことなどほとんど眼中にない。
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