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「レバノンを焼き払え」ゴラン高原へのロケット弾攻撃を受け、イスラエル閣僚が激怒

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月29日 16時39分

ロケット攻撃の犠牲になった子どもたちを弔うゴラン高原ドゥルーズ派住民の葬列(7月28日、マジダルシャムス)Matan Golan / SOPA Images via Reuters Connect

ジェイソン・レモン、トム・オコナー(外交担当副編集長)
<ヒズボラの仕業とされるロケット弾攻撃で、10代以下の子ども12人が犠牲に。ハマスの越境攻撃の日以来、民間人で最大の犠牲を被ったイスラエルは本格開戦に踏み切るのか>

イスラエルが占領するシリア領ゴラン高原の町マジダルシャムスが7月27日、ロケット弾によるとみられる攻撃を受け、サッカー場にいた12人が死亡した。

これを受け、イスラエルのエネルギー・インフラ相のエリ・コーヘンはソーシャルメディアで発言した。「レバノンを焼き払え」

攻撃はイスラエルの北のレバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラによるものとみられているが、ヒズボラは関与を否定している。

 

パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが昨年10月7日にイスラエルに越境攻撃を仕掛けて以降、パレスチナの擁護者を自認するヒズボラとイスラエルの間では攻撃の応酬が続いてきた。

今回の攻撃はまず27日に地元メディアが発生を伝え、その後イスラエル軍が、犠牲者の年齢は10〜20歳の若者や子どもで、さらに20人がけがをしたことを明らかにした。

「レバノンを焼き払え」とコーヘンはX(旧ツイッター)に投稿した。「われわれは北方で重大な行動を取らなければならない。ヒズボラに重い代償を支払わせるのだ。遊んでいる子供たちを攻撃する残酷なテロ組織だ」

コーヘンはこうも述べた。「マジダルシャムスで殺された方々のご遺族、大切な人を失ったドルーズ派の兄弟たちにお悔やみを申し上げる」

イスラエル北部住民の怒り

ドルーズ派はイスラム教シーア派から派生したアラブの少数派宗教だ。キリスト教を含むさまざまな宗教的伝統の影響を受けており、信者はイスラエルとレバノン、シリア、ヨルダンに暮らす。

ゴラン高原の住民の多くはドゥルーズ派だ。2019年のイスラエルのデータによれば、イスラエルとゴラン高原に暮らすドルーズ派の信者は14万人を超える。

ゴラン高原を含むイスラエル北部は、ガザ侵攻開始以降ヒズボラの攻撃にさらされ、住民はネタニヤフ政権に対する反感を募らせていたところだった。葬儀に訪れた閣僚に一部の住民が怒りをぶつけたのもそのためだ。

イスラエル軍の報道官は本誌に対し、今回の攻撃は「(昨年の)10月7日以降でイスラエルの一般市民の死者を最も多く出した攻撃」だと述べた。

イスラエル軍は「状況評価および把握している情報」に基づき、「マジダルシャムスに対するロケット弾攻撃はテロ組織ヒズボラによって実行された」としている。

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