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パリ五輪、保守派を激怒させた「最後の晩餐」は称賛に値する

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月29日 22時38分

断頭台のマリー・アントワネットの演出も、「ギロチン美化」と批判を浴びた(7月26日、パリ・オリンピック開会式) Bernat Armangue/Pool via REUTERS

マンディ・タヘリ
<テーマは「包摂」、「多様性」。「最後の晩餐」冒涜説をとって憤慨する一部のキリスト教徒たちは、反LGBTQ感情に煽られているのではないかと指摘する牧師たちもいる>

パリ・オリンピック開会式の一場面がレオナルド・ダ・ビンチの名作「最後の晩餐」のパロディーを演じたとして保守派から非難されている件について、2人の聖職者が公に反論した。あの場面は、キリスト教とは関係がなく、ギリシャ神話のディオニュソスの饗宴を描いたものだという。

【画像】「最後の晩餐」ではなくオリュンポスの神々だ、という説も

オリンピック開会式は7月26日の夕方から4時間渡って行われ、多様な芸術とセクシュアリティ、アイデンティティ、ファッション、音楽、文化の幅広い表現によって、現代および過去のフランス文化が披露された。



そのなかに、ダ・ビンチの「最後の晩餐」を侮辱していると多くの人が主張する場面があった。「最後の晩餐」はイエス・キリストが処刑される前夜に12人の使徒たちと長いテーブルについて夕食を共にしたエピソードを描いている。

問題の演出は、長いテーブルの背後に着飾った女装のドラァグクイーンやトランスジェンダーのモデルらがずらりと並び、テーブルの中央に置かれた大皿の上で肌を青く塗った裸体の人物が歌い踊るというもの。

このシーンは保守的なキリスト教徒から鋭い批判を浴び、多くの政治指導者や敬虔な信者が、これは侮辱的であり、キリスト教の価値観や信仰を軽んじていると訴えた。

キリスト教国から批判が殺到

フランスのカトリック教会の司教協議会は、「キリスト教を嘲笑し、愚弄している」と非難し、「私たちは、不埒で、挑発的なくつかの場面によって傷ついた、世界中のすべてのキリスト教徒のことを考えている」という英文の公式声明を発表した。

アメリカではルイジアナ州選出のマイク・ジョンソン下院議長(共和党)が27日、これは「世界中のキリスト教徒を侮辱している」とX(旧ツイッター)に投稿。さらに「今、私たちの信仰と伝統的価値観に対する戦いは、際限がない。だが私たちは真実と美徳が常に勝利することを知っている」と付け加えた。

同じくアメリカのアラバマ州選出ケイティ・ブリット上院議員(共和党)は、この場面を「恥さらし」と呼び、コロラド州選出のローレン・ボーバート下院議員(共和党)は「むかつく」と表現。「キリスト教徒は常にこの種の虐待にさらされている」と付け加えた。イーロン・マスクも、「極めて無礼な行為」と非難した。

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