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世界初のプロフェッショナル・プログラマーは女性だった...コンピューター開発史に埋もれた先駆者たちを描いて

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月31日 18時55分

少子高齢化が進む日本で近年、女性活躍推進の議論が進むのも、労働力不足への懸念が背景にあると考えられがちだ。同様に1940年代当時のアメリカでも、工場や農場での人手不足への対策として女性の労働力が求められた。

しかし、STEM(科学、技術、工学、数学)領域での女性の採用増加は、人員不足の問題とは切り離してとらえるべきだとクレイマンは強調している。性別や人種にとらわれず多様な人材からなるチームワークがイノベーションの源泉となり、新技術開発の推進力となったことが描かれるのだ。

この戦争は産業に従事する労働者の急増とは別に、工学、科学、数学の分野で大学教育を受けた女性の活躍の場を大きく広げていった。(10ページ)

彼ら(ENIACの開発者)が求めたのは最高の人物で、出身国、人種、宗教、性別は問わなかった。シリコンバレーの企業の幹部にいる私の友人たちは、このようなインクルーシブで多様性に富む環境こそが、今日、最高の技術プロジェクトにおける成功の鍵だと言う。(293ページ)

さて、この女性たちが採用された頃、コンピューターという言葉は、「計算する人間」(human computer:計算手)を指していた。彼女たちは、当時大学院で微分方程式を扱える学生しかできなかった計算を行うために、採用されていた。当時の、フィラデルフィアは全米で最も大学が集まる場所であり、このような人材を集めるのに格好な場所であった。

彼女たちは数学と論理を扱う素養に加え、出身国や人種、宗教、性別を問わず創造性を評価するフィラデルフィアやプリンストンの文化を背景に、テクノロジーの可能性を引き出す協調的な仕事を通じて、機械を利用する人たちの多様な関心に対する柔軟な理解を身に付け、計算手から職業的なプログラマーへと成長していったのである。

彼ら(ENIACの開発者)は「固定観念にとらわれない」発想ができ、粘り強く働く人なら誰でも雇い、養成し、教育し、耳を傾け、発明を後押しした。そのなかには、女性も男性も、移民も、さまざまな宗教や人種の人たちも含まれていた。(293ページ)

このような過程を通じて、現代的なプログラミングという職業が誕生した。何かの問題に取り組む人々と、それを解く助けとなるコンピューターとの間を橋渡しするグループである。この6人の女性たちは、現代的なコンピューターにおける最初の職業プログラマーとなったのである。(241ページ)

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