イスラエル支援で米軍は能力の限界、太平洋の守りが手薄に
ニューズウィーク日本版 / 2024年8月7日 18時30分
とはいえ「これは非常にコストがかかる仕事であり、いったん配備した部隊を置き換えるのは困難で、時間がかかる」とミラーは言う。「決して攻撃に出ないハーフコートラクロスのような防御するだけのゲームを続けることはできない」
イランがイスラエルに報復攻撃を仕掛ける可能性は日毎に高まっているように見える。4日には、アントニー・ブリンケン米国務長官が、イランの攻撃が24時間以内に開始される可能性があるとG7首脳に警告したことが報じられた。
イランも、外交上の警告や安全に関する通達を出すなど、攻撃の意図を予告している。5日の朝までに、イランは領空を閉鎖するよう通告した。
ドイツの航空会社ルフトハンザは、ベイルート、テルアビブ、テヘランへのフライトをキャンセルし、アメリカをはじめとする西側諸国は、自国民に対し、レバノンや近隣諸国から一刻も早く脱出するよう促している。
「これは作用・反作用の典型的な症状だ」と、コンサルティング・グループ、トレンズ・リサーチ・アンド・アドバイザリーの米中東安全保障問題専門家ビラル・サーブは言う。
「イランが単独で何をしようとしているかは問題ではない。それに対してイスラエルが何をするかが重要だ。報復合戦が完全に手に負えなくなるとは思わないが、同時に、このような力関係が働くたびに、標的が少しずつ大きなものになっていくため、戦いが拡大するリスクも高まる」
イスラエルに大規模な報復攻撃を仕掛ける場合、イランにとって障害となるものがいくつかある。ひとつは、イランのミサイル発射台は数に限りがあることで、大規模な巡航ミサイルや弾道ミサイルの一斉射撃を行いたくても限界がある。
そうなると、前線からは距離があるイスラエルの中枢を攻撃することは難しくなるが、イランは代理人のネットワーク、特にイスラエルの北に位置するレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラを使うことでその点を克服することもできる。
ヒズボラは先日のイスラエル国防軍による空爆でヒズボラ幹部のフアド・シュクル司令官が殺害されたことで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の極右政権にやはり恨みを抱いている。
防衛システムにも負担
だがイスラエルは2023年10月7日以降、パレスチナ自治区のガザでハマスとも戦闘を続けており、重武装したヒズボラともほぼ毎日のように報復合戦を続けている。そのため、イスラエルの防空システム「アイアンドーム」に多大な負担がかかっている。
この記事に関連するニュース
ランキング
-
1「新型ミサイルでウクライナ中枢攻撃も」 プーチン氏が警告 露主導同盟の首脳会議で
産経ニュース / 2024年11月28日 21時3分
-
2韓国に大雪、5人死亡 首都圏で40センチ超積雪
ロイター / 2024年11月28日 18時29分
-
3オーストラリア“16歳未満のSNS利用禁止”法案…議会で可決 国レベルでの禁止は世界初
日テレNEWS NNN / 2024年11月29日 1時24分
-
4イスラエル、レバノン南部で爆撃と発表 停戦発効後初か ヒズボラ「抵抗活動続ける」
産経ニュース / 2024年11月28日 23時43分
-
5イスラエルとヒズボラ、停戦後も非難応酬 合意の脆弱性浮き彫り
ロイター / 2024年11月29日 6時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください