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世界を席巻するK-POP・韓ドラ、他国のエンタメにはない「ユニークな特徴」とは?...BTSからイカゲームまで

ニューズウィーク日本版 / 2024年8月23日 14時37分

確かに、朝鮮半島の分断をテーマにした韓国の映画やドラマは少なくない。

2000年公開の映画『JSA』は国内外の賞を受賞したし、北朝鮮でクーデターが起きる物語を描いた17年の映画『鋼鉄の雨』は大きな話題を呼んだ。

19年にネットフリックスで公開された恋愛ドラマ『愛の不時着』は、中国、日本、アメリカなど外国でも圧倒的な数の視聴者を獲得して話題になった。

外国と自国の文化を融合

スポーツの分野でも、韓国は18年の平昌冬季五輪を成功させている。開会式では、韓国と北朝鮮の選手たちが朝鮮半島をかたどった「統一旗」を掲げて合同入場を果たし、野心的な和平交渉の基礎となった。

近年、再び朝鮮半島の緊張が高まるなか、韓国の活動家らは北朝鮮を内側から揺さぶるべく、Kポップを大量に保存したUSBドライブを風船に入れて、北朝鮮に向けて飛ばしている。

だが、現代のほとんどの韓国人にとって、北朝鮮との対立は最も差し迫った懸念ではなくなりつつあるし、国家としても個人としても、成功を妨げる最大の要因ではなくなった。平和的な統一の希望がほぼ消えつつあるなかでは、なおさらだ。

韓国の文化には極めて特徴的な側面があり、それが中国や日本といった、韓国よりもはるかに大きな近隣諸国(とそのエンタメ業界)と競争する上で大きな武器になってきたと、柳は考えている。なにしろ韓国の人口は5200万人だが、中国は14億人、日本も1億2500万人だ。

「韓国はアーティストについて多様な考え方があり、アートの多様性を認めている」と柳は言う。「成功したフォーマットを繰り返すのではなく、常に変化している。それが世界のエンタメ業界とは異なる点であり、ダイナミクスをもたらしている」

韓国以外のアジア諸国も世界のエンタメ業界に進出を図っているが、韓国は独特の方法で世界の影響を取り入れてきたと、柳は指摘する。

「韓国の文化産業の最大かつ最もユニークな点の1つは、外国文化の影響を取り入れて、少しひねりを加えるのではなく、自国の文化と混ぜ合わせ、醸成させ、新しいものに作り変えることだ」

昔から優れた発酵食品や酒を生み出し、今は韓流が世界を席巻しているように、韓国は外国のさまざまな材料を吸収して、さらに口当たりの良いモノを生み出してきた。

西洋生まれの楽器で韓国の伝統音楽を演奏する音楽家もいる。柳自身、伝統的な韓服にスニーカーを合わせてインタビューにやって来た。

「韓国の文化は古い伝統的な要素と現代的な要素が見事にかみ合っている。つまり、現在の芸術は伝統に基づいているが、伝統は現代的な要素と融合しており、私たちはその新しい表現方法を見いだしている」

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