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パリ五輪は日本人選手が活躍して楽しかった、で済ませてはいけない...「本来のオリンピック精神」を取り戻せるか?

ニューズウィーク日本版 / 2024年9月2日 12時27分

近年、IOC(国際オリンピック委員会)は、難民選手をオリンピックに派遣する取り組みを強化していて、2016年のリオデジャネイロオリンピックでは史上初の難民選手団が結成され、注目を集めた。この取り組みは、スポーツの力によって難民問題に対する意識を高め、国際社会の連帯を深めることを目的としている。

しかし難民選手の参加には課題もある。難民の生活環境は安定しておらず、十分なトレーニング環境が整っているとは限らない。また、ビザ取得や渡航手続きなど多くの困難が伴う。

さらにオリンピック出場は、難民選手にとって祖国との軋轢という意味で大きなプレッシャーとなる可能性もある。IOCはこれらの課題を克服するため、各国政府や国際機関と協力して、トレーニング施設の提供やコーチの派遣、心理的サポートなど難民選手に対する支援体制を強化している。

日本人は、難民受け入れに反対する極右政党が総選挙で躍進したフランスでの難民選手団の戦いをどう見ただろうか。私は、オリンピックを通じて難民が抱える困難や彼らが持つ可能性について考える機会がもっとあってほしいと思う。

紛争がやまない世界での開催意義、紛争中のイスラエルとパレスチナの選手が同じ大会に参加することの意義、そうしたことに考えを巡らす時間があってほしい。社会にとってのオリンピックの意義は、メダルの色や数だけではないはずである。

石野シャハラン
SHAHRAN ISHINO
1980年イラン・テヘラン生まれ。2002年に留学のため来日。2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。YouTube:「イラン出身シャハランの『言いたい放題』」
Twitter:@IshinoShahran




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