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「仕事のせいで本が読めない」のは普通? 話題書が指摘する「現代人の働き方の問題点」

ニューズウィーク日本版 / 2024年8月30日 17時38分

実際、本の要約を提供する当メディアでも、コミュニケーション術や時短テクニック、投資の基本など、仕事や生活にすぐ役立つ「情報」が得られる(と表紙をパッと見てわかる)ビジネス書や実用書が人気を集める傾向にある。

来週、重要なプレゼンがあるとする。そんなとき、自分のプレゼンスキルをすぐ向上させてくれそうな本は読める。一方、小説やエッセイ、人文書には手が伸びづらい──。これが現代日本を生きるビジネスパーソンのリアルな姿だろう。

働きながら本が読める社会をつくるには?

本書の結論として、三宅さんは、「全身全霊」信仰をやめ、半身で働くことを提案している。最終章の記述を引用したい。

サラリーマンが徹夜して無理をして資料を仕上げたことを、称揚すること。
お母さんが日々自分を犠牲にして子育てしていることを、称揚すること。
高校球児が恋愛せずに日焼け止めも塗らずに野球したことを、称揚すること。
アイドルが恋人もつくらず常にファンのことだけを考えて仕事したことを、称揚すること。
クリエイターがストイックに生活全部を投げうって作品をつくることを、称揚すること。
──そういった、日本に溢れている、「全身全霊」を信仰する社会を、やめるべきではないだろうか?
半身こそ理想だ、とみんなで言っていきませんか。

常に、誰もが「全身全霊」が求められる社会からは抜け出そう。そして「仕事と両立させたい、仕事以外の時間」を楽しむ余裕を生み出そう。これが三宅さんからのメッセージだ。

 

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』とセットで読みたい3冊

最後に、「半身で働く」を実践するにあたってのおすすめ書籍を3冊紹介したい。ぜひ『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』とあわせて読んでもらえたらと思う。

『Joy at Work ジョイ・アット・ワーク』(近藤麻理恵/スコット・ソネンシェイン著、河出書房新社)

『人生がときめく片づけの魔法』の「こんまり」こと近藤麻理恵さんが「ときめく働き方」を教えてくれる一冊。

「ときめくかどうか」という観点は、「全身全霊を傾けるべき仕事か、それとも半身でかかわるべき仕事か」を見極める材料となるだろう。「仕事も人生も、自分の決断の積み重ねでできている」というフレーズは多くのビジネスパーソンに刺さるに違いない。

『限りある時間の使い方』(オリバー・バークマン、かんき出版)

80歳まで生きるとして、あなたの人生はたったの4000週間しかない──。本書はこの衝撃的な指摘からはじまる。

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