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今度のエムポックスは若年層の感染や性感染が増えている

ニューズウィーク日本版 / 2024年8月28日 18時57分

注目すべきは、ウイルスのこの二つの変種による感染が、若年層で著しく増えていることだ。専門家はこれが若者の免疫システムに関係しているのではないかと考えている。

「アフリカでエムポックスが流行する根本的な要因のひとつは、50年以上にわたってこの病気が放置されてきたこと、そして投資の不足と病気に対する対応能力の低さにあると思う」と、WHO国際保健規則緊急委員会のメンバーであるニジェール・デルタ大学のディミー・オゴイナ教授(感染症学)は、同記者会見で、エムポックスの感染者急増について語った。「だが、アフリカの人口が比較的若く、天然痘の予防接種の恩恵を受けていないことも、今回の感染拡大の生物学的理由のひとつと考えられる」。

天然痘は、エムポックスと同じ仲間であるオルソポックスウイルスによって引き起こされる深刻な、そしてしばしば死に至るウイルス感染症だった。罹患した患者のおよそ30%が死亡するこの病気は、何千年もの間、人類を悩ませてきた。だが1980年、WHOは、世界的なワクチン接種キャンペーンの成功により、天然痘は根絶されたと宣言した。

1970年代以降、天然痘ワクチンの定期接種の必要性はなくなった。しかし、天然痘ワクチンもまた、エムポックスに対するある程度の予防効果がある可能性が、多くの研究で示唆されている。その結果、1980年以前に生まれた人は、ある程度、エムポックスの感染に対して抵抗力がある可能性が高い。



「オルソポックスウイルスは、ヒトの免疫系に認識される多くのタンパク質を共有しているため、ある種のオルソポックスウイルスに感染すると、その後に別のオルソポックスウイルスに感染することを防ぐ効果が認められる」と、イギリスのピルブライト研究所でポックスウイルスを専門に研究しているジョナス・アルバーナズは以前本誌に語っていた。「これが天然痘ワクチン、そして現在のエムポックスワクチンの基礎となっている」

専門家は、既存のエムポックスワクチンが、新種のクレードIb変異体に対しても効果があることを期待している。



【動画】「エムポックス(サル痘)」の症状とは?






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