不動産大手への集中が招いた中国バブル崩壊
ニューズウィーク日本版 / 2024年8月29日 11時50分
ジュリア・カーボナロ(本誌記者)
<過剰債務、過剰投資、建物完成前に販売するプレセールによる利益先食いの負のスパイラルが止まらない>
中国の不動産業界の「寡占的な状況」が市場危機の大きな引き金になったと、ミシガン大学の新研究が指摘している。低迷前の2018年、中国では不動産開発業者の上位5社が、国内の住宅生産全体の30%を占めていた。アメリカの同様のシェアは13%だ。
中国の不動産部門は数十年にわたり爆発的な経済成長の原動力となってきた。しかし、リスクの高い投資、過剰な借り入れ、過剰な建設が続き、住宅市場のバブル崩壊を警戒した政府が20年に借り入れを制限する新たなルールを導入。不動産部門の崩壊が始まった。
21年12月に国内第2位の不動産開発業者、中国恒大集団が債務不履行に陥ると、危機は住宅市場全体に広がり、複数の企業が破綻して未完成の住宅が残された。23年10月には最大手の碧桂園(カントリーガーデン)も債務不履行と認定された。
現在も進行中の危機は、中国で2000年代初頭以降、少数のコングロマリットに力を集中させた住宅生産モデルの欠陥を露呈している。中国では土地は国が所有しており、使用権が競売を経て売買される。落札できるのは十分な資金を持つ大手の開発業者ばかりだ。
さらに、物件の完成前に販売するプレセールは、購入者の頭金や住宅ローンの債権が開発中に開発業者に移り、それを運転資金に回せる。プレセールはリスクを伴うため、中国の住宅購入者は実績のある大手業者を好むと、ミシガン大学の調査は指摘する。
大手開発業者は全国に拡大し、需要に合わない場所でも過剰に建設してきた。ミシガン大学のラン・トン教授(都市・地域計画学)は言う。「不動産業界の集中は国民経済の課題を悪化させ、地域経済にも悪影響をもたらしている」
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