バッキンガム宮殿の噴水を「血まみれ」にした活動家が有罪に...英王室を狙う過激抗議の数々とその目的
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月3日 11時43分
「あの抗議活動から3年が過ぎたということ自体が私にとっては信じ難い。その間、われわれは摂氏40度の酷暑を体験したが、我が国の政府からは明確な行動はない。プラントベースの食料システムを実現するまで、われわれには前進し続ける以外の選択肢はない。現状は、私たちの世代や後に続く世代への裏切りになるだろう」
英王室が抗議デモに直面したケースはこれが初めてではない。
王室関連の祝賀行事やイベントでは、イギリス最大の反君主制団体「リパブリック」が抗議行動を行うのが常だが、その他にも王室は数多くの環境保護団体の標的となってきた。
今年6月には、アニマル・ライジングの活動家2人が、ロンドンのあるギャラリーに展示されていた、国王チャールズ3世の新しい肖像画に汚損行為をはたらいた。これは、国王が関与している王立動物虐待防止協会(RSPCA)に対する抗議を目的とした行動だった。
同団体のメンバーは、画家のジョナサン・ヨーが描いた国王の肖像画にメッセージやイラストを貼り付けた。国王の頭部には、イギリスの人気コメディ・アニメシリーズ「ウォレスとグルミット」の登場キャラクター「ウォレス」の顔を切り抜いたものを貼り付けた。
さらに、次のように書かれた吹き出しも添えられた。「チーズはないよ、グルミット。RSPCAが認定した農場で起きている、あらゆる虐待行為を見てごらん」
この肖像画を展示していたギャラリーは警察に被害届を提出した。肖像画自体はアクリル樹脂で保護されていたため損傷はなかった。
同じく6月には、ウィリアム皇太子が環境保護団体「ジャスト・ストップ・オイル」の抗議活動から間一髪で逃れるという一件もあった。
皇太子は、イングランドのチチェスター大聖堂で行われた親しい友人であるウェストミンスター公爵の結婚式に出席していた。結婚式の出席者たちが大聖堂を出たところで、抗議活動家の2人が消火器からオレンジ色の粉を噴射した。
抗議を行った2人は結婚式出席者を見ようと待っていた群衆に紛れていたが、警察によって群衆から排除された。そのうち1人はジャスト・ストップ・オイルのプレスリリースに以下のようなコメントを残している。
「結婚式は祝賀のために集まり、未来に誓いを立てる時だ。しかしながら、私たちが団結して石油とガス(の使用)を止めなければ、世界中の無数の人々にとって未来はない。ゆえにわれわれは、イギリスの次期政権に対し、他国と連携して2030年までに化石燃料を段階的に廃止するよう求めている」
(翻訳:ガリレオ)
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