「冗長で曖昧、意味不明」カマラ・ハリスの初のインタビューを私はこう見る
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月5日 21時30分
就任初日の1日で何ができるのかを具体的に述べることはなく、むしろ彼女が副大統領として支えてきたことを「誇りに思う」とインタビューで後に語った現政権による4年間に及ぶ統治を経ても、「中間層が支援を必要としている」理由は何なのかという当然の疑問を引き起こした。
さらにハリスは、アメリカ人がなぜバイデン=ハリス政権のレガシーから逃れて、ハリス率いる「新たな前進の道」を進むべきなのかについても説明しなかった。国民の約80%は、4年前よりも暮らし向きが悪くなっていると感じている中でだ。
世論調査の専門家であるフランク・ランツは、ハリスの回答について「実質的に無価値」で「良いスタートではなかった」と評した。
「ハリスややリード」から「トランプややリード」へ
ほかにも失敗はあった。
有権者が最も重視している問題の一つである、米南部の国境地帯から流入してくる不法移民について質問を受けたハリスは、自分はカリフォルニア州司法長官としてこの問題に取り組んできたと得意げに語った。
だが彼女は、副大統領としてバイデンから移民の制御を任され、移民たちに「アメリカに来ないで」と警告を発したにもかかわらず、少なくとも720万人の移民がその警告を無視してアメリカに流入したという事実を忘れていたようだ。
そしてバッシュが環境問題に話題を移すと、ハリスはさらに深い論理の迷宮にはまり込んでいった。
バッシュはハリスが一部の環境問題について立場を急転換させ、以前は支持していた方針を今は支持していないという立場を取っていることを指摘。これに対してハリスは、「私たちはこれまでに達成してきたことを行うことは可能だ」と奇妙な反復文で答え、こう付け加えた。
「気候変動は現実であり......喫緊の課題だ。私たちはこの問題に対して、時間に関して期限を設けるなどの評価基準を適用すべきだ」
適用すべき「評価基準」がどのようなものかや、なぜその基準が必要なのかについては説明しなかった。それに「時間に関して」以外にどうやって「期限を設ける」ことができるというのだろうか――。
インタビューの悪影響は既に出始めている。インタビュー翌日の8月30日には大統領選挙の結果をめぐる賭け率に変化が生じ、ハリスのわずかなリードがなくなってトランプとの拮抗状態になった。
世論調査分析サイト「ファイブサーティーエイト・ドットコム」の創設者であるネイト・シルバーも、大統領選における選挙人団の獲得数において「ハリスがややリード」としていた予測を「トランプがややリード」に変更した。
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