全斗煥クーデターを描いた『ソウルの春』ヒットと、独裁が「歴史」になった韓国の変化
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月10日 15時58分
にもかかわらず、今の韓国で朴政権期から民主化運動に至る時期に関する映画やドラマのヒットが相次いでいるのはなぜか。皮肉だが、それは時の経過とともに、その記憶が薄れつつあるからだ。だからこそ、彼らは実在の人物の名前を架空の名前に置き換え、多分にフィクションを含んだ作品をエンタメとして楽しむことができる。
太平洋戦争にせよ、ナチスのユダヤ人虐殺にせよ、大きな悲劇を経験した直後には記憶があまりにも生々しく、鮮明に残されている。だから、その段階では人々はこれをわざわざ回顧する必要はないし、いわんやそこに作り話をちりばめたりしようと思わない。だからこそ、どんな事件でもそれらを題材にした優れた作品が作られるのは、発生から数十年を経た後になる。
韓国において、権威主義政権や民主化運動を語る作品が多く作られ、人々の注目を集めているのは、彼らがその詳細を忘れてしまったからであり、また、これらの事件があった時代が「歴史」になったからである。そして、過去が「歴史」になる過程もまた、韓国現代史の重要な部分の1つである。この過程については、筆者の近著『全斗煥』(ミネルヴァ書房)でも描写した。関心がある方はぜひ参考にしてほしい。
映画『ソウルの春』のトレーラー
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
世界の喜劇王「チャールズ・チャップリン」貧困の幼少期から映画界のスターとして成功するまでの道のりを解説
ニコニコニュース / 2024年11月25日 10時30分
-
「絶望はない」ミャンマー人難民に35年間医療従事 カレン族の医師シンシア・マウンさんに聞く
東洋経済オンライン / 2024年11月19日 11時0分
-
なぜプーチンは長期政権を維持できるのか...意外にも、ロシア国内で人気が落ちない「3つの理由」
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月15日 13時57分
-
韓国人作家にノーベル文学賞 作品の翻訳家が語る"韓国文学"の魅力 「お薦め本」リスト付き
RKB毎日放送 / 2024年11月5日 18時16分
-
韓国のキム・ジヨンに共感する、日本の佐藤裕子たち...小説『82年生まれ、キム・ジヨン』の爆発的ヒットの背景とは?
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月2日 9時30分
ランキング
-
1米国が日本にミサイルを配備すれば対応する=ロシア外務省
ロイター / 2024年11月28日 0時33分
-
2韓国ドラマはつらい暮らし耐え忍ぶ糧…脱北の24歳女性、正恩氏に「忠誠心のかけらもない」
読売新聞 / 2024年11月28日 7時6分
-
3ミャンマー軍トップに逮捕状を請求 国際刑事裁判所の主任検察官「ロヒンギャの迫害に関与」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月27日 20時47分
-
4中国で拘束の米国人3人解放 バイデン大統領の外交成果に
共同通信 / 2024年11月28日 0時23分
-
5英、電子認証の事前申請開始=日本の旅行者ら対象―政府
時事通信 / 2024年11月28日 6時24分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください