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中東欧が「プーチン支持」に傾くのはなぜか?...世界秩序を揺るがす空想の「ソ連圏への郷愁」と「国民の不安」

ニューズウィーク日本版 / 2024年9月10日 14時31分

これを推し進める指導者は国民感情に付け込み、世論を慎重に誘導する。そうした感情の1つは、ロシアとの戦争に引きずり込まれるのではないかという根強い不安だ。コロナ禍の影響やウクライナ侵攻が引き金となった物価高への対応をしくじった政府への恨みもある。

今年7月、ロシアが攻勢を強める東部の要衝チャシブヤールで訓練を行うウクライナ軍 ETHAN SWOPEーANADOLU/GETTY IMAGES

またソ連時代の保守的で強い指導者たちが強要した「秩序」とその後のリベラルな「混乱」を比べ、空想のソ連圏に郷愁を覚える人もいる。

一方、昨年チェコではNATO出身のペトル・パベルが大統領に就任し、ポーランド総選挙では反EU政権が敗北。旧ソ連圏で起きている民主主義の退行に歯止めをかけ、逆転させられる可能性を示した。

同様に、ロシア主導の軍事同盟である集団安全保障条約機構から今年6月にアルメニアが脱退を明言したことは、地政学的同盟関係が不動でないことを教えてくれる。

こうした変化は全て世界において安全保障の秩序が揺らいでいることを示唆する。ウクライナでの戦争がいつどのような形で終わるかが、新秩序の在り方を決めるだろう。

しかしながら左右両方のポピュリスト政党が同時に台頭し、独裁政権がロシアとイデオロギーで連帯する現状は強い警告を発している。この戦争に勝者がいるかどうかは分からない。だが誰が勝利するにせよ、自由主義的な秩序の再構築は決して保証されていないのだ。

Stefan Wolff, Professor of International Security, University of Birmingham

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.




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