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「トランプ暗殺未遂」容疑者ラウスとクルックス、殺意以外の「唯一の共通点」とは?

ニューズウィーク日本版 / 2024年9月18日 11時0分

言葉を越える行動もあった。ウクライナへは戦争が始まって以来、数回にわたって渡航し、ウクライナ多国籍軍団の義勇兵を採用していると主張。これがマスコミに注目されてアメリカの新聞社などから取材を受けた。

だが、多国籍軍団の元義勇兵は本誌の取材に対し、ラウスは「妄想家」で「嘘つき」だったと話している。

ラウスは2016年の大統領選でトランプに投票したことを激しく後悔していた様子で、後にトランプを「無能な子供」と形容した。トランプに対する見方を変えてからは民主党のみに寄付するようになり、民主党の資金集め団体「アクトブルー」を通じて計19回、総額140ドルを寄付していた。1回当たりの額は1ドル~25ドルだった。

考え方を変えるまでは共和党を支持しており、2015年はジョン・ケーシック、2007年にはジョン・マケインに寄付。それ以前にもケーシックやギャリー・バウアーに寄付していた。

トーマス・クルックス容疑者について分かっていること

トーマス・クルックス容疑者を追悼する男性 REUTERS

ペンシルベニア州のトーマス・クルックス(20)は7月13日、同州バトラーの集会で演説していたトランプを銃撃し、シークレットサービス(大統領警護隊)に射殺された。政治的背景はあまり一貫性がなく、まだ捜査で解明できていないことも多い。

ラウスがXでウクライナ支持を鮮明にし、トランプに対して募る反感を示すなどSNSで存在感を放っていたのとは対照的に、クルックスがSNSで活動していた形跡はほとんどなかった。右派のSNS「Gab」によれば、「バイデン大統領支持」の投稿に使われていたアカウントの持ち主はクルックスだった可能性がある。

米連邦捜査局(FBI)によると、クルックスにつながる別のSNSアカウントも見つかった。ここでは「反ユダヤ」のトピックが共有されていたといい、ネット上の限られたクルックスの足取りは「思想が入り混じった」状態だったとFBIは指摘する。

動機の解明は難航した。クルックスは共和党として有権者登録する一方で、アクトブルーにも寄付していた。クルックスの住所と一致するFECの記録によると、寄付はバイデン大統領の就任式当日の1回のみで、金額は15ドル。この寄付は、Progressive Turnout Project(本拠地シカゴ)の投票促進活動に充てられた。

クルックスは地元の介護施設で働いていて、採用の際の身元調査は問題なく通過した。ペンシルベニア州アレゲニーのコミュニティカレッジでエンジニアリングサイエンスの準学士号を取得して今年卒業したばかりだった。FBIによると、クルックスはトランプとバイデンの両方の集会をネットで検索しており、いずれかの候補に対する明らかな政治的動機というよりは、「偶発的な標的」として自宅近くで予定されていた集会に目を付けた可能性がある。

銃撃に至るまでの数日の間に、クルックスはバトラーの集会の場所のほか、民主党全国大会の日程と場所や、別の政治家に関する情報をネットで検索していた。銃撃の当日には集会場所の写真を検索し、襲撃に使った銃弾を購入した。

クルックスの車からは、簡易爆弾と防弾チョッキ、弾倉、ドローンが見つかった。2カ月たった今も正確な動機は不明だが、FBIは暗殺を狙った銃撃が失敗に終わったと見ている。米当局はクルックス単独の犯行だったと断定し、外国の介入や共謀の痕跡はなかったとしている。

捜査当局は9月16日、再びトランプの命が狙われた事件についても、これまでに調べた限りではラウス単独の犯行だったようだとメディアに語った。

(翻訳:鈴木聖子)

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