「これだからウクライナ人支援は嫌なのです」...避難民に届く怪しいメッセージの狙いとは? SNS詐欺の実態に迫る
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月26日 14時38分
アメリカとの国境沿いのメキシコの町ではウクライナからの避難民がシェルターにあふれ返った(22年4月) MARIO TAMA/GETTY IMAGES
ロシアが侵攻を開始した22年2月以前にウクライナ国内に居住しており、侵攻によって避難を余儀なくされたウクライナ市民には、U4Uに申請する資格がある。アントノフは5カ月間、アメリカ入国の支援者を探したが、見つかったのは「詐欺師」ばかりだった。
彼がある女性とフェイスブックでやりとりしたスクリーンショットには、次のようなメッセージがあった。「移民支援団体を通じてあなたの支援者を用意します。支援申請の承認通知を受け取った後、手数料を支払う必要があります」。手数料は800ドルだとも記されている。
ファーストネームのみを明かすという条件で取材に応じたヤナ(32)は、ロシア国境に近い戦闘地域であるハルキウ(ハリコフ)在住の警察官だ。彼女は6カ月間、むなしい努力を続けた後、今年6月にフェイスブックで支援者を見つけた。
しかし、合法的な支援にたどり着く前に、「大勢の詐欺師たち」から見返りとして最高2000ドルもの金銭を要求されたという。「U4Uプログラムに申請するための支援を求めると、途端に詐欺師からメッセージが届くようになる」
「詐欺師たちは直接メッセージを送り付け、手数料が必要だと言ってくる。もっと巧妙な連中は、申請の承認通知が来たので渡航許可を発行してもらう必要がある、と言って金銭を要求する。そして偽データと引き換えに金をだまし取る」と、ヤナは言った。
さらに「申請者の情報を全て入手した上で、『おまえの名前でアメリカのあらゆる政府機関に脅迫状を送るぞ』と申請者を脅し、金銭を要求するケースもある」という。
ヤナは届いたメールを削除し、発信元をブロックした。
数週間前から支援者を探しているというあるウクライナ人女性は、匿名を条件に本誌の取材に応じた。彼女がフェイスブックに投稿して支援者を募ったところ、見返りを要求するメッセージがすぐに届いたという。
「多分、手口はいくつかあるんだと思う。ある女は200ドル払えば支援者になりますと言って、知らない人名義の口座を連絡してきた挙げ句、申請をキャンセルして渡航許可が下りないようにすることもできる、と脅してきた」
「詐欺師はあの手この手で金をだまし取ろうとする。仲介団体と称して手数料2500ドルを要求する連中もいる。本当に仲介団体か、試してみないと分からない。もっと安い額を言ってくる連中もいる」
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