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年収600万円、消費者金融の仕事は悪くなかったが、債務者が「衝撃の結末」を迎えることも...

ニューズウィーク日本版 / 2024年9月30日 11時45分

ところがこの話は、悲しい結末を迎える。あるとき部署に届いた1通の封筒を開けたとき、著者は衝撃を受けることになった。

それは死亡診断書だった。

氏名:伊東孝則(男) 昭和×年2月26日死亡したとき:平成×年8月10日 午後11時死亡したところ:××市××町1-2-5 ××公園死亡の原因:縊死(いし)......。 血の気が引いて、息が詰まった。つい1カ月ほど前に電話でやりとりをした、あの伊東さんだ。奨学金が多重債務の原因という境遇に同情心を抱いたが、電話を切って数分後にはもう忘れてしまっていた。 私は伊東さんに直接会ったことはなく、一度だけ電話で催促したにすぎない。ただ、あのときには間違いなく電話の向こう側に存在していた人だ。その人が自殺した。(123〜124ページより)

直接やりとりをした債務者の自殺を知ったのはそのときが初めてだったそうだが、なんとも身につまされる話である。だが、奨学金の返済が社会問題化している現代においては、もしかしたら珍しい話ではないのかもしれない。

さて、こうしたエピソードはありつつも、基本的には債務者とのやりとりがコミカルに描写されていくのが本書の特徴だ。最終的に意外な、そして悲しい結末につながっていくことにもなる。

その詳細については、ここでは触れないでおこう。

『消費者金融ずるずる日記』
 加原井末路 著
 三五館シンシャ

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[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。他に、ライフハッカー[日本版]、東洋経済オンライン、サライ.jpなどで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。ベストセラーとなった『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)をはじめ、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『書評の仕事』(ワニブックス)など著作多数。2020年6月、日本一ネットにより「書評執筆本数日本一」に認定された。

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