イランがイスラエルに報復できる手段は限られているが「何もしないという意味ではない」
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月30日 17時24分
「それ以上の動きは戦争の引き金になりかねないということがイランにとってのジレンマとなっている。それがハニヤ暗殺に対する報復で何もできなかった理由であり、そもそもイスラエルに対する抑止の確立は遅きに失したようだ」。
「これは、イランが何もしないかもしれないという意味ではない。現時点ではどんな動きも、以前よりもエスカレートする危険性があるという意味だ」。
イランにとっての選択肢のひとつは戦争を始めることだが、それはイスラエルによる大規模な反撃を引き起こすだろう。国際的な取り組みでガザやレバノンの紛争が収まるのを期待すればいいのだが、戦闘の勢いは衰えそうもない。
イランが、イエメンの反政府武装勢力ホーシー派やシリアに駐留する民兵組織など、自らの代理勢力の残存戦力を動員しようとする可能性もあるが、ナスララの死後、ここには「指揮能力の不在」という深刻な問題がある、とアジジは言う。
レバノンのシーア派世俗政党アマル運動から派生したヒズボラは、イランと同盟したことで、イスラエルにとって安全保障上の大きな脅威へと変わった。
ナスララの下で、ヒズボラは長距離ミサイルやロケット弾などの兵器を手に入れ、その軍事力はレバノン軍を凌駕した。
シリアで内戦が勃発すると、ナスララはイランの同盟国であるシリアのバシャル・アサド大統領のために軍を派遣し、ハマス、ホーシー派、イラクの民兵組織を束ねるイランの代理勢力のネットワークにおけるリーダーの地位を築いた。
シリアもイラン離れの可能性
イランはイスラエルやその同盟国との緊張をエスカレートさせることにほとんど関心がなく、最後に残ったわずかな抑止力も、自己保存を優先するうちに失ってしまう可能性がある、とイスラエルの元情報将校アビ・メラメドは主張する。
ヒズボラはアサド政権の主要な支持勢力であることから、27日の攻撃の影響はシリアにも及ぶだろう、とメラメドは言う。
「シリアの独裁者、アサドの立場は、反政府勢力に対してますます弱くなる可能性がある。アサドはイランの影響下から距離を置き、イランの野望を抑えようとする他のアラブ諸国との緊密な関係を模索するようになるかもしれない」
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
ナスララ師殺害、中東情勢への影響懸念 主要国「即時停戦」を、米は「支持」表明
AFPBB News / 2024年9月29日 12時5分
-
イスラエル、ヒズボラ指導者殺害の正当性主張 イランは報復誓う
ロイター / 2024年9月29日 10時13分
-
イスラエル、空爆でヒズボラ指導者ナスララ師殺害 イランにも打撃
ロイター / 2024年9月28日 22時43分
-
ニュースでよく聞く「ヒズボラ」ってそもそもなに?イスラエルとの戦闘はなぜ続くのか【中東情勢すっきり解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月26日 21時0分
-
イスラエル・ヒズボラの交戦激化、第2局面でイランはどう出る?
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月3日 14時20分
ランキング
-
1渡航先トップは日本=10月1日から大型連休―中国
時事通信 / 2024年9月30日 16時29分
-
2オーストリア総選挙で極右野党が第1党、元ナチス関係者らが結党…欧州政治の右傾化が鮮明に
読売新聞 / 2024年9月30日 19時20分
-
3トランプ氏、不法移民は「凶悪」 激戦ペンシルベニア州で演説
ロイター / 2024年9月30日 14時33分
-
4中国外務省報道官 日中首脳会談含めた対話を歓迎する意向示す 石破新総裁誕生で
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月30日 18時22分
-
5ナスララ師殺害のレバノン空爆でイラン「革命防衛隊」准将が死亡…イスラエルを強く非難
読売新聞 / 2024年9月30日 19時1分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください