韓国、日本企業へ徴用工賠償を命じる判決続々と 良好な日韓関係に水差す事態の真相は?
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月8日 18時8分
佐々木和義
<今年の渡航者数が1000万人を超すといわれる日韓両国。気になる歴史問題の行方は?>
石破茂新首相は就任から一夜明けた10月2日朝、米国のバイデン大統領と、さらに午後3時からは韓国の尹錫悦大統領とも電話会談を行なった。石破首相が「日韓の緊密な連携は双方にとって不可欠であり、日韓関係を更に発展させていきたい」と述べると、尹大統領も内閣総理大臣就任への祝意に続いて、日韓関係強化に取り組みたい考えを述べた。
両首脳は来年の国交正常化60周年を見据えつつ良好な日韓関係を持続することを確認し、また、日米韓が連携して北朝鮮に対応することで一致した。一方で、日韓間に横たわる懸念事項について触れることはなかった。
石破首相はかつて「(日本が)独立国だった韓国を併合して名字を変えた」「わが国が敗戦後、戦争責任と正面から向き合ってこなかったことが問題の根底にある」と発言したなど韓国内では概ね歓迎ムードが漂う一方、慰安婦や徴用工など歴史問題についての日本の方針が変わることはないという見方が有力だ。
徴用工問題、日本企業への賠償認める判決相次ぐ
その旧朝鮮半島出身労働者、いわゆる徴用工問題で韓国裁判所が日本企業に賠償金支払いを命じる判決が相次いでいる。
6月20日、元徴用工の遺族が熊谷組を相手取って2019年4月に提起した損害賠償訴訟でソウル中央地裁が1億ウォン(約1100万円)の支払いを命じる判決を下したことが明らかになった。
同地裁は7月26日にも原告10人が19年4月に日本製鉄に損害賠償を求めた訴訟で日本製鉄に対し1億2000万ウォン(約1340万円)の支払いを命じる判決を下し、8月22日、4人の原告が日本製鉄を訴えた別訴訟でも1億ウォンの支払いを命じる判決を下している。
8月30日には元労働者5人が三菱マテリアル(旧三菱鉱業)を相手取った訴訟で、同地裁は1人に約2700万ウォン(約290万円)、残る4人にそれぞれ約1800万ウォン(約198万円)の支払い命じる判決を下しており、9月5日にはソウル高裁が西松建設に対して原告5人のうち1人に2000万ウォン(約215万円)、4人に約1300万ウォン(約143万円)ずつ支払いを命じる判決を言い渡している。
請求権の消滅時効めぐり分かれる見解
5件の訴訟はいずれも消滅時効が争点になった。韓国の民法では損害賠償請求権の消滅時効は不法行為が行われた日から10年、不法行為を認知した日から3年とされており、請求権を行使できない特別な「障害理由」が認められる場合、障害理由が解消された日から3年と定められている。
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