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【ノーベル賞受賞】AIの父・ジェフリー・ヒントン わずか3人の会社で起こしたブレイクスルー

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月11日 19時0分

音声認識アシスタント、自動運転車、ロボット工学、ヘルスケアの自動化、そして彼らの意図に反して戦争と監視の自動化も含めた人工知能が、急激に発達していったのは自明の通りだ。

AIがもたらす負の側面にも目を向ける

先の入札に参加していたスタートアップ企業は、「アルファ碁」の開発で知られるディープマインド社である。今ではグーグル傘下となり、この10年間で最も有名で影響力の大きいAI研究所へと成長した。

囲碁は人工知能にとって、最も難しいとされるゲームのひとつとして知られる。盤面がほかのゲームに比べて広く、コンピューターでも計算しきれないためだ。

その囲碁において、ディープマインド社が作りあげたAIが世界最高峰のプロ棋士に勝利したことが、2015年、世界中を震撼させた。ついにAIがディープラーニングによる自己学習で、人間を打ち負かしたのだ。


ジェフリー・ヒントンは、ディープマインドの創設者であるデミス・ハサビスを、第二次世界大戦中にマンハッタン計画で米英カナダの技術者や科学者を取りまとめ、最初の原子爆弾を作ったロバート・オッペンハイマーになぞらえている。

「オッペンハイマーがマンハッタン計画を主導したように、ハサビスはアルファ碁を主導した。もしほかの人間が主導していたら、アルファ碁があれほど早くあれほど見事に完成することはなかっただろう」と。


時期は前後するが、2014年にはイーロン・マスクが、ディープマインドのような研究所で人工知能が驚異的な速さで進歩していることに、懸念を表明している。

「ディープマインドのようなグループに直接かかわる機会でもないかぎり、それがどれだけ速いかはわからないだろう。指数関数的な速さで進歩しているのだ。5年以内には、何かひどく危険なことが起きる可能性がある。長くても10年以内には。私は自分の知らない何かについて、でたらめを言って脅かしているわけではない......」

AIがもたらす負の側面にも目を向けるべきだとするのは、もちろんマスクだけではない。この技術があれば、フェイクニュースをAIが勝手に生成し、広く拡散してしまうことだって十分に考えられる。

無邪気に科学の発展を喜ぶことができないのは、歴史が証明している。AIは果たして人類にとって最良のものなのか。それを考えるのは人間の、あなたの仕事である。

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 ケイド・メッツ [著]
 小金輝彦 [訳]
 CCCメディアハウス[刊]

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