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裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調査でここまで「謎」が解けた

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月16日 18時20分

沈没船の残骸が見つかるとすぐ、ヨハンネセンらは調査に着手した。「最初に行ったのは、盗まれやすそうな遺物をいくつか回収することだった」と、ヨハンネセンは言う。

「船体と建造方法も調べたいと考えた。それに、この沈没船が本当にプロビデンツ号なのかを確認したかった。調べてみると、この船は間違いなくプロビデンツ号だと分かった。理由は、『コーク』という文字が記された陶製パイプが2つ見つかったこと。コークはプロビデンツ号が出航した港の名前だ」

今年4月には、船の建造方法がオランダ式なのかイギリス式なのかを明らかするために、新しい調査を行った。その結果、オランダ式の方法で建造されていることが判明した。船体に鉄製のリベットとくぎが多用されていたことから、その結論を導き出せた。

研究チームは、船体から木材のサンプルも持ち帰った。それにより、いつどこで船が建造されたかを突き止めようというのだ。

この調査によって、1700年頃にドイツ北部産のオーク材で造られた可能性が高いと判明した。「もっと多くの木材サンプルを分析に回しているので、さらに驚くべきことが分かるかもしれない」と、ヨハンネセンは言う。

この沈没船は歴史学的・考古学的にも興味深いと、フォーシットは指摘する。

「アイルランドの貨物船の沈没事故に関する研究は非常に珍しい。それに、ラビット家はコークの町で非常に大きな影響力を持っていた。政治的にも経済的にもその権力は絶大だった。(ラビット家の)ジョセフとウォルターの父子はいずれも(コークの)市長を務めた」と、フォーシットはノルウェー海洋博物館の

ヨハンネセンの見方によると、ラビット家はこのオランダ船でアイルランドの産品をノルウェーに運んで売り、そのお金でノルウェーの木材を購入しようとしていたようだ。

「この1隻の沈没船から、当時の西ヨーロッパに広い地域の交易ネットワークが存在したことが見えてくる」と、ヨハンネセンは言う。

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