就任のはるか前から「ブレブレ」だった石破首相...今後を占う「野球」エピソードとは?
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月1日 17時38分
プチ鹿島
<総選挙での敗北を受け去就が注目される石破首相。実は2018年自民党総裁選時からその動きは予想できたと、新聞15紙を読み比べる時事芸人のプチ鹿島さんは指摘します>
石破茂首相が誕生してから新聞に躍る見出しは次のようなものだ。
「『石破カラー』封印 短期決戦 岸田路線を継承」(毎日新聞10月5日)
「石破カラー控えめ」(読売新聞10月11日)
前者は所信表明演説、後者は自民党が発表した衆院選の公約発表を受けてのものだ。「カラー控えめ」というと優しい書き方だが要は首相になってからブレたのである。
政策以外でも、いわゆる裏金議員への対応でも石破首相はブレにブレた。最終的に選挙で一部を非公認としたが、誕生と同時に新総裁が自民党内に取り込まれた経緯は誰がトップになってもこの党は変わらないのでは?とも思えた。
一方で石破氏個人のキャラについても書いておきたい。最初は威勢がいいがすぐにシュンとなるのは石破氏の伝統芸なのだ。
印象深いのは2018年の自民党総裁選だ。当時の安倍晋三首相との一騎打ちで、石破氏は「正直で公正、謙虚で丁寧な政治をつくる」と主張。森友・加計問題を念頭に安倍氏を批判したと報道された。しかし党内から「個人攻撃だ」と言われ、石破氏はそのフレーズを封印したのだ。
「正直・公正」をキャッチフレーズにすると怒られる状況ってすごかったなぁと思い出していたら興味深いことが国会であった。10月の松山政司・参議院幹事長の代表質問である。
松山氏は石破氏が選ばれた総裁選は「わが党の伝統である自由闊達さと、公正公平さにあふれて」いたと自賛。その上で「今月26日が命日となる参議院自民党幹事長であった吉田博美先生」の名を出した。吉田氏は日頃から誰にも公平で常に全員野球をモットーにしていたと振り返る。
私は松山氏の言葉を聞いて吉田氏の名を思い出した。先述の18年総裁選で大活躍していたからだ。石破氏が「正直・公正」を掲げたとき、クレームを入れたのが彼だったのだ。
18年8月24日の毎日新聞には石破氏の件(くだん)の発言に対し、参院竹下派を仕切る吉田氏は「個人的なことで攻撃することには非常に嫌悪感を感じている」と「苦言を呈した」とある。
当時の吉田氏は安倍氏とかなり近かったが、総裁選では石破氏支持だった。吉田氏の師匠、青木幹雄氏の意向をくみ、参院竹下派は石破氏支持だったからだ。吉田氏はいわば板挟み状態だった。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
農相・法相の後任人事でも石破カラー封印…「党内融和」優先に世論ますますがっかり
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月5日 11時32分
-
人気支えた地方組織からも〝石破おろし〟選挙結果無視の続投明言 新聞各紙「憲政の常道」と退陣要求 執行部は新たな「連立」模索も
zakzak by夕刊フジ / 2024年10月29日 11時30分
-
石破内閣は半年もつか…衆院選で迎える"拒否権集団"に逆らえず持ち味を失った新首相の正念場
プレジデントオンライン / 2024年10月16日 19時15分
-
なぜ高市氏は首相になれなかったのか…「石破政権」を生んだ"菅・岸田連合"の舞台回しと麻生包囲網
プレジデントオンライン / 2024年10月7日 15時15分
-
まさかの低支持率「石破政権」いきなりヤバい理由 国民人気は高いと思われていたのに何が?
東洋経済オンライン / 2024年10月7日 14時50分
ランキング
-
1ウクライナ、北朝鮮軍への「初の砲撃」を公表 数日内に戦闘参加も ロシア西部クルスク州
産経ニュース / 2024年11月5日 8時16分
-
2北朝鮮が弾道ミサイル発射と韓国軍が発表、日本海へ向け 日米韓当局が分析進める
産経ニュース / 2024年11月5日 7時52分
-
3トランプ氏「連勝」のアイオワ州でハリス氏逆転、女性を見下すような発言影響か…地元紙
読売新聞 / 2024年11月4日 19時29分
-
4「北朝鮮部隊を初攻撃」=ロシア西部で、詳細不明―ウクライナ高官
時事通信 / 2024年11月4日 21時31分
-
5高級官僚が省内で同僚の妻らと性行為、動画400本以上流出 赤道ギニア
AFPBB News / 2024年11月5日 10時14分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください