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日本社会や弁護団にとって袴田冤罪事件はまだ終わっていない

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月26日 15時0分

戦後、袴田さんを含め5人の元死刑囚が再審で無罪になった。その異常な状況を踏まえて、再審請求手続き制度を改正することが急務ではないか。

と同時に、日本の政府が本格的に死刑制度の廃止を検討することも必要だ。この仕事は政治家に任せるのではなく、国民一人一人が議論に参加することが望ましい。人ごとではない。冤罪の被害者になるリスクは誰にでもある。

無実の人が今も服役中だったり、既に死刑を執行されている可能性はゼロではない。信用できる司法制度とは、冤罪ゼロを目指しながら、冤罪が起こったとしても短期間で解決できる方法がある制度だ。日本の司法制度は日本が決めるべきなのは当然だが、人権尊重など多くの価値観を欧州の国々と共有していると強調する日本政府が、再審請求手続きの改正や死刑制度の廃止を検討しないことは矛盾する。

数年前から、再審傍聴も含めて袴田冤罪事件を何度も取材した私は、これからも他の冤罪の疑いがある事件を積極的に取材し、海外で報道していきたい。日本を批判するためではない。日本の司法制度の非人道的な部分をなくすことに貢献したいのだ。

西村カリン
KARYN NISHIMURA
1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。AFP通信東京特派員となり、現在はフリージャーナリストとして活動。著書に『フランス人記者、日本の学校に驚く』など。Twitter:@karyn_nishi




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