ロシアと、大戦で敗れた「枢軸国」との明確な違い...プーチンが国際社会で「決して孤立しない」理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月23日 16時18分
木村正人
<ロシアでBRICS首脳会議が開かれ、プーチン大統領が中国、インドなど36カ国の首脳もてなした。西側諸国はBRICSを脅威と単純に見なすべきではない>
[ロンドン発]国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているロシアのウラジーミル・プーチン大統領は10月22日、3日間の日程でロシア南西部の都市カザンで始まったBRICS(新興国)首脳会議で中国、インド、イランを含む36カ国の首脳をもてなした。
プーチンは早速、中国の習近平国家主席と会談し「この75年間に露中関係は包括的パートナーシップと戦略的協力のレベルに達した。現代世界における国家間関係のあるべき姿のパラダイムになったと自信を持って断言できる。1~8月の二国間貿易は4.5%増加した」と胸を張った。
習主席も「400年前、お茶を運ぶ両国間の道もこのカザンを通っていた。われわれは非同盟、非対立、不干渉という大原則の下、大国関係を構築する正しい道を歩んできた。両国はあらゆる分野における多面的な戦略的交流と実務協力を絶えず強化・拡大する」と応じた。
米国の経済制裁の威力を減じるのが狙い
プーチンはインドのナレンドラ・モディ首相とも会談し「ロシアとインドの関係は特別な特権的戦略的パートナーシップを特徴としており、発展を続けている。貿易も順調だ。大型プロジェクトも一貫して進展している」と歓迎した。
モディ首相は「われわれはロシアとウクライナの紛争に関し定期的に連絡を取り合っている。問題は平和的手段によって解決されなければならない。一刻も早い平和と安定の確立を全面的に支持する。人道を優先し今後も可能な限りの支援を提供する」と釘を刺すのを忘れなかった。
ドル取引を減らし、西側の経済制裁の威力を減じるのがサミットの狙いだ。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は昨年と同様、サミットに出席、ウクライナや西側諸国を怒らせた。グテーレス事務総長は、ウクライナ侵攻は国連憲章違反とのお題目を繰り返すのが精一杯だった。
大戦で敗れた「枢軸国」とプーチンの違い
BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国から、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、エチオピア、イランを含むより広範なグループに拡大している。トルコやサウジアラビアも新規加盟を目指す。
第二次世界大戦で敗れた「枢軸国」日本、ドイツ、イタリアとプーチンの違いは石油・ガスなど天然資源のあるなしだ。原油価格が1バレル=10~20ドルに暴落しない限り、プーチンは安泰だ。ウクライナ戦争を継続できるし、国際社会で孤立することはない。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
BRICS首脳会議開催、中国発展の経験はグローバルサウスの参考に―中国メディア
Record China / 2024年10月26日 18時0分
-
BRICS、ガザ停戦呼びかけ ウクライナには言及1回 首脳宣言
ロイター / 2024年10月24日 1時43分
-
BRICS、西側制裁に懸念=「拡大」「反米」に温度差も―ロシア主導で首脳宣言採択
時事通信 / 2024年10月23日 23時38分
-
プーチン氏、BRICSサミットで「多極的世界秩序」強調
AFPBB News / 2024年10月23日 19時43分
-
BRICS、夕食会で開幕=プーチン氏と個別会談も
時事通信 / 2024年10月22日 7時34分
ランキング
-
1衆院選「国民から厳しい審判」と石破首相、続投には意欲
ロイター / 2024年10月28日 14時32分
-
2トランプ陣営、ヒスパニック系に差別的発言 ハリス陣営が非難
AFPBB News / 2024年10月28日 12時45分
-
3米、艦船にパトリオット搭載計画 中国のミサイル技術巡る懸念で
ロイター / 2024年10月28日 14時53分
-
4台湾メディア「日本政治の漂流が決定」 外交部は「友好的な当選議員」に祝電
産経ニュース / 2024年10月28日 14時25分
-
5英メディア、総選挙結果は「有権者の怒り過小評価」 「高市首相」に道開くとの指摘も
産経ニュース / 2024年10月28日 8時7分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください