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「理性的で賢く堅実だ」石破首相、 独自路線の「安全保障政策」を米国務省の元日本部長はどう見たか

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月23日 19時3分

──日米地位協定を改定すると言明しているが。

発言をよく聞くと、本来の目的は地位協定を改定することではないのではないか。ワシントンでも石破の発言を誤解している人もいるだろうが、彼が本当に言いたいのは、米軍基地を今以上に共有して使用するといったことだろう。

これは日本が自衛隊の能力を強化する必要性をより認識するようになっているということであり、米政府からは非常に歓迎される。

以前は、日本がさらに自立した能力を持てば、日米同盟にとって良くないと考える人もいたが、私は一度もそう思ったことはない。日本が自国の能力をより発揮することは、同盟をより強固にする。同盟にとっては非常に価値がある。

運用的な観点からは、日本の能力は高いほどいい。私たちが中国や北朝鮮、ロシアを抑止するため、あるいは必要であれば打ち負かすために、日米で戦力を増強するにはさらなる協力の強化が必要だ。これについては石破も同意していると確信する。

自衛隊は「統合作戦司令部」を新設したが、米軍にはインド太平洋軍があり、最終的には日米韓、オーストラリア、フィリピンとの合同作戦や合同訓練で、より相互に結び付く機会と能力を持つことになる。日本の防衛だけでなく、特に台湾有事のシナリオのためにも、統合作戦の能力を向上させることが必要だ。

──中国の脅威があるから、結束するしかない。

私たちは中国を数で打ち負かすことができない。だからこそ安全保障を理解している首相が誕生したのはいいことだ。韓国とオーストラリア、フィリピンなどと私たちがさらにつながって、「乗数効果」を得るべきだ。

いくつかの制限はあるが、日本は集団的自衛権を行使することができる。今後は、台湾有事の可能性がある。私の希望は、日本がアメリカやオーストラリア、願わくば他の国々と共に、台湾の防衛に作戦上の貢献をすることだ。そして日本が、実際に攻撃を受けるのを待たずとも関与できるようになってほしい。

──総裁選前から発言が「ブレている」とも批判されるが、懸念はあるか?

問題は、自民党と党員、国会議員が、石破に政策を前進させる機会を与えるかどうかだ。首相周辺が最初に石破政権を弱体化させないといいが。自民党ではしばしばそういうことが起きるが、日本には安定した政権が必要だ。安全保障政策全般について言えば、自民党内はかなり一致していると思う。

自民党議員が自分自身の政治的利益のために石破政権を弱体化させようとするのではなく、日本に安定した政権が必要なことを本当に理解し、彼を支持することを願う。

石破政権の安全保障に関わるメンバーは能力がある人が多い。小野寺五典政務調査会長、林芳正内閣官房長官、中谷元防衛大臣などだ。10月27日の選挙を乗り切れば、石破政権はうまく回るだろう。

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