2027年で製造「禁止」に...蛍光灯がなくなったら一体どうなる? 未来を担う新時代の照明とは
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月25日 16時30分
これまでも行政や企業を中心にLED照明への移行を推奨してきたが、蛍光灯の生産終了発表を受けてこうした勢いはさらに加速していくだろう。
蛍光灯からLED照明への移行で約50~60%、白熱電球からLED照明への移行では約80%消費電力が削減されることを考えると、水銀の流出による健康・自然への被害防止に加えて、環境負荷の軽減に期待は高まるばかりだ。
だがその前に、照明業界は目の前に迫る蛍光灯からLED照明への「移行の波」への対処が求められる。
LED照明への切り替えには工事が伴う場合が多いが、ただでさえ電気工事士の人手不足と高齢化が進むなか、今年4月からは時間外労働の上限規制が適用された。そこに移行の波が重なるとなれば混乱は避けられない。
ライティング事業部プロフェッショナルライティングビジネスユニット長の熊澤龍也氏 Newsweek Japan
そこでパナソニックEW社では、照明商品の省施工設計にこだわってきた。主力製品の「iDシリーズ」では、既存のモデルの一部に小さな「電線保持片」を追加することで、器具内で電線を引き回ししやすくするなど、施工に配慮した細やかな設計のバージョンアップを実施してきた。
これらの設計について「非常に細かいかもしれませんけど、電気工事を伴うものですから、このような細かいところにも非常にこだわって、1つ1つ積み重ねてきております」と、ライティング事業部プロフェッショナルライティングビジネスユニット長の熊澤龍也氏は語る。
このほかにもiDシリーズでは、軽量化や各部品の形状最適化など施工性改善につながるモデルチェンジを実施。作業負担軽減の面からもLEDへのスムーズな移行を後押ししていく。
生産過程でも「環境配慮」を徹底
パナソニックEW社では1つの市場の終焉を新たな時代への転換点として、「環境にやさしいLED」を「環境にやさしく製造する」ための改革も推し進めている。
2012年の発売以来5000万台を出荷している主力のLED器具「iDシリーズ」を製造している新潟工場では、環境配慮型のものづくりを徹底。1973年の操業以来、消費電力の見える化や製造設備の見直しなど地道な活動を続けており、2017年にはグッドファクトリー賞、2018年には省エネ大賞・資源エネルギー庁長官賞を受賞するなど高い評価を受けてきた。
熊澤氏は「大変光栄な賞をいただいておりますが、これに満足することなく、さらなる省エネに向けたプロジェクトを我々は進めてまいります」と、省エネ改革への大きな意欲を見せた。
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