1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

過去最大の素数「2の1億3627万9841乗−1」が発見される...大きな素数の「意外と身近な恩恵」とは?

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月25日 20時35分

効率的に素数を探す方法の一つに「メルセンヌ素数(メルセンヌ数「2のn乗−1」の中で素数であるもの)」を用いるものがあります。

メルセンヌ数、メルセンヌ素数は、17世紀のフランスの神学者マラン・メルセンヌの名にちなんでいます。素数の探索には「メルセンヌ数『2のn乗−1』のnの部分に素数を入れると、新たな素数の候補になる」という理論を用いています。たとえば、nに素数の2を入れると、2の2乗−1=3となり、計算結果の3も素数です。

ただし、nが素数であっても2のn乗−1が素数にならない場合もあります。例えば、5番目の素数である11をnとした「2の11乗−1」は2047ですが、1と2047のほかに、23と89で割り切れるため素数ではありません。

過去最大の素数であることが確認されるまで

GIMPSは、1996年に設立されました。コンピューターの未使用のプログラミング機能を活用して、非常に大きなメルセンヌ素数を探す国際ネットワークで、ボランティアで運営されています。素数探索のためのソフトは、誰でも無料でダウンロードすることができます。

今回のデュラント氏の成果を含めて、過去約30年間で18個のメルセンヌ素数を発見しています。そのうち16が発見時に最大のメルセンヌ素数で、かつ発見されている素数の中でも最大のものです。さらに言えば、GIMPSの設立後、過去最大の素数はGIMPSの解析ソフトを用いたものしか発見されていません。

デュラント氏は23年10月に52番目のメルセンヌ素数を探し始めました。約1年後の24年10月11日に「候補の『M136279841』がおそらく素数である」とアイルランドのダブリンにあるNVIDIA A100 GPUが報告し、翌12日に米テキサス州サンアントニオにある NVIDIA H100 がメルセンヌ素数に特化した判定法(リュカ・レーマー・テスト)で素数であることを確認しました。

その後GIMPSにより、複数のプログラムおよびハードウェアプラットフォームで検証され、19日に52個目のメルセンヌ素数、かつこれまでで最大の素数であることが確認されました。

4102万4320桁の数、と言われても、ピンと来ない人が大半であるはずです。海外の記事では「この素数を.txtファイルに収納すると41.8 MBになる。ちなみに、(長編で有名な)トルストイの『戦争と平和』(英語で58万7287語) の.txtファイルは3.4 MBだ」などと紹介しています。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください