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在日中国人「WeChatで生活、仕事、脱税」の実態...日中関係に悪影響も

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月4日 11時35分

周来友(しゅう・らいゆう)(経営者、ジャーナリスト)
<日本には80万人の中国人がいるが、その多くは日本人と接点がなく、中国語で部屋を借り、買い物をし、取引をしている。ウィーチャット(微信)経済圏がそれを可能にしているが、そこには問題が2つある>

代々木公園で9月上旬に「チャイナフェスティバル」、下旬に「ナマステ・インディア」という催しが開かれていた。中国の催しでは中華料理の屋台が並び、名物のスリッパ卓球が注目を集めた。インドのほうもカレーのおいしそうな匂いが漂い、サリーの着付け体験コーナーがにぎわっていた。

どちらも盛況だったが、両方に足を運んで気付いたことがある。私が見たところ、中国の催しは客の9割が中国人。一方、インドの催しは客の9割が日本人だったのだ。

今の日本人の中国とインドに対する感情を象徴するかのようだったが、残念に思う理由はそれだけではない。チャイナフェスティバルは、在日中国人社会の「特異性」が映し出されたものでもあった。

現在80万人を超える在日中国人。しかし、その多くは日本社会から「隔絶」されて生活している。

彼らは在日中国人が経営する不動産屋で部屋を借り、中国人の友人とガチ中華で食事をし、中国語で学べる予備校に通う。仕事の取引先も在日中国人の会社。日本人との接点はほとんどなく、日本語は一向に上達しない。いや昔と違って、もはやその必要がないと言っていいだろう。

日本のスーパーに行くことすらめったにない中国人たち

こうなったのは、もちろん中国人の数が増えたこともあるが、理由はもう1つ。中国発SNS「ウィーチャット(WeChat、微信)」の巨大経済圏がここ日本でも確立されているからだ。

最近発売された『日本のなかの中国』という本で著者の中島恵氏が明かしているように、今はウィーチャットで買い物をし、日本のスーパーに行くことすらめったにないという中国人が少なくない。タワマンに住む富裕層だけでなく、中間層の中国人も、大学生も予備校生も同様だ。

私自身は来日以来、日本社会に溶け込んで生きてきたが、彼らはそうではない。

私が知る一例を紹介しよう。早朝、中国人の業者が豊洲市場で新鮮な魚を買い付け、写真を撮ってウィーチャットに流す。1グループのメンバーの上限は500人。4グループに「買いませんか」と送れば、潜在顧客は2000人となる。買い手が決まれば自分で配送し、支払いはウィーチャットペイ。事務所は当然不要だし、在庫を抱えることもない。

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