投票日まであと1週間...米大統領選「5つの争点」を徹底解説 独自調査で見えた「最大の争点」は?
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月30日 14時22分
実際、ハリスは正規の入国手続き所のある場所を除いて国境を閉鎖すると約束した。そう簡単に閉鎖は解かないとも言った。不法に入国した者は国外追放し、5年間は再入国を禁じ、違反を繰り返す者には重罪を科す考えも表明している。
「国境管理強化の必要性に重点を置くことで有権者の信頼を勝ち取りたい。ハリスはそう考えているようだ」と、ジェラットは言う。
対するトランプは、自分がホワイトハウスに戻ったら「2000万」の不法移民を国外追放すると豪語している。
しかしカリフォルニア大学デービス校のブラッドフォード・ジョーンズ教授(政治学)に言わせると、国境警備の強化に関する今春の超党派提案が可決されていれば、今さら「強硬策」を講じる必要などなかったはずだ。
「国境が制御不能だという主張も、強硬策が必要だという議論も、実は今春の超党派法案に盛り込まれていた」と、ジョーンズは言う。
「しかしトランプは、この話で自分の選挙戦を盛り上げたかった。だから(今年5月の時点では)法案をつぶす必要があった。彼はうまくやったし、移民問題に焦点が当たれば自分の勝ちだと今も思っている」
──ビラル・ラーマン
ウクライナ
ILLUSTRATION BY BRITT SPENCER
ロシアとウクライナの戦争が始まってから足かけ3年、一連の世論調査からはトランプ支持者の間でウクライナ支援に対する熱意が冷めていることが見て取れる。この問題への政府の対応については民主党と共和党の主張が真っ向から対立しており、投票行動を左右する要因であることは間違いない。
ロシアの露骨な侵略が始まって以来、アメリカは一貫してウクライナに対する最大の軍事支援国だ。米議会はこれまでに5回、総額1750億ドルもの支援を承認している。
今年10月の世論調査では、回答者の16%がウクライナ支援の停止を望んでいた。8月時点の14%に比べて2ポイントの増加だ。とりわけトランプ寄りの有権者では、4分の1以上がアメリカによる支援の即時停止を望んでいる。
一方でハリスは、紛争終結に向けたいかなる交渉からもウクライナを排除してはならないと主張し、ウクライナの現政権を支持するバイデン政権の立場を継承する意向を示唆している。
対して共和党のトランプはウクライナの現政権を支持せず、戦争終結に向けた「取引」に応じないウォロディミル・ゼレンスキー大統領を批判している。
ペッパーダイン大学のダン・コールドウェル名誉教授(政治学)に言わせれば「国際紛争や戦争に対するアメリカ人の見解はさまざま」であり、「支持政党や人種、ジェンダー、民族、世代などによって大きく異なる」のが常だ。
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