歴史的大接戦の米大統領選を左右する7つのファクター
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月31日 18時30分
サム・ポトリッキオ
<11月5日に迫る大接戦の米大統領選、一見小さなことが原因で結果がひっくり返る可能性がある>
2024年のアメリカ大統領選挙は歴史的大接戦になるだろう。わずか500票余りが最終的な勝敗を決めた00年の大統領選をしのぐ戦いになるかもしれない。
今回ほど候補者の支持率が拮抗している大統領選はなく、賭け市場では共和党のドナルド・トランプが、世論調査では民主党のカマラ・ハリスがやや優勢となっている。
だが勝敗のカギを握るのは、両者が交互にリードを奪い合っている7つの激戦州。今後討論会の予定はなく、選挙戦はこのまま、さまざまな要因に翻弄されながら11月5日の投票日を迎えることになりそうだ。カギになる要因を7つ見てみよう。
◇ ◇ ◇
①ペンシルベニア州立大学対オハイオ州立大学のアメフト試合
2010年、大学のアメリカンフットボール試合が選挙に及ぼす影響を分析した論文が発表された。論文によると上院選でも知事選でも大統領選でも、投票日の10日前の試合で地元の大学が勝利した場合、現職候補の得票率が1.61%伸びた。
今年のレギュラーシーズンのハイライトといえば、11月2日に行われるペンシルベニア州立大学とオハイオ州立大学の一戦。全米トップ10の強豪同士が、大学王者のタイトルを懸けてぶつかる。
面白いことにオハイオ州は共和党のJ・D・バンス副大統領候補の出身地でオハイオ州立大学は彼の母校。一方の対戦相手は選挙の勝敗を握る激戦州ペンシルベニアの大学だ。投票日の3日前に行われる試合は、大統領選の行方を占う上で最大の指標となるかもしれない。ペンシルベニア州立大学は10月24日現在無敗で、試合は彼らのホームスタジアムで行われる。これはハリスに有利。
②11月1日に発表される雇用統計
経済指標は今後も好調を維持し、現職副大統領のハリスに有利に働くだろう。そんななか番狂わせを生じさせかねないのが、11月1日に発表される雇用統計だ。
雇用統計は予想が難しく、GDPや物価の上昇と関係なく急激な楽観ムードや悲観ムードを引き起こす。そのため「ハリスもトランプも大嫌いな有権者」の心理に大きく影響するかもしれない。これはどちらの得にもならない。
③若い男性向けポッドキャスト
大学1年生の息子バロンがいるトランプは主要メディアの報道番組を敬遠し、代わりに若い男性有権者を取り込もうとそうした層に人気のポッドキャストに出演。マッチョな態度を確実に支持してくれるコメディアンのシオ・ボンや右派インフルエンサー、ネルク・ボーイズの番組に出ることで、驚くほど若い男性の関心をかき立てた。その戦略は実に効果的で、ハリスも模倣しようとしたほどだ。これはトランプに有利。
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