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トランプの和平仲介でウクライナは国土の2割を失う

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月11日 16時7分

トランプは「現実的な」和平案を考えている?(9月27日、ニューヨーク) Photo by Ukrainian Presidency via ABACAPRESS.COM

レイチェル・ドブキン
<トランプが「現実的に」戦争を終結させるならこの方法であり、成功したら「ノーベル平和賞」に値する、と米海軍退役大将は言う>

ウクライナとの戦争を終結するにあたり、ロシアはウクライナの国土の2割を手にするだろう──米海軍の退役大将でNATO欧州連合軍最高司令官を務めた経験もあるジェームズ・スタブリディスは11月9日、CNNの番組に出演して見通しを述べた。

次期米大統領に決まったドナルド・トランプは以前、自分が大統領に就任すればロシアとウクライナの戦争を「24時間以内」に終わらせることができると言った。

そのトランプが先の米大統領選で民主党の候補カマラ・ハリス副大統領に勝利したことで、世界は今後、トランプがこの戦争にどう相対していくのかを見守ることになる。

スタブリディスはしばしばテレビに出演し、国際問題に関する知見を述べている。そして、もしトランプが本当に24時間以内に戦争を終わらせることができるなら、「真っ先に私が彼のノーベル平和賞受賞に賛成する」と述べた。

「私がトランプに期待し、また実際にやるだろうと思っていることは、交渉のテーブルに着くよう双方に圧力をかけることだ。朝鮮戦争の決着に似た感じになるだろう」とスタブリディスは述べた。

「現実的には、残念ながらロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、現時点の支配地域にあたるウクライナ領土の約20%を手にすることになる。だが領土の残り80%と多くの資源と人口の大多数は、民主的で自由なウクライナの側に残る」

代わりにウクライナには、ロシアに対する安全保障策として「NATO(加盟)への道が開かれる」だろうとスタブリディスは言う。「現実的に見て、たぶん3〜5年後といったところだろう。世界にとって最悪の結果にはならないということだ」

実際問題として、トランプの大統領就任後、交渉にはどのくらいの時間がかかると思うかと本誌が電子メールで取材したところ、スタブリディスは9日、こう答えた。

「忘れてはならないのは、交渉による和解はアメリカが強制できるものではないということだ。合意するのはあくまでもウクライナとロシアだ」

「停戦や最終的な決着に向けた交渉には何カ月もかかるだろう」

ウクライナはロシアから侵攻を受ける前から正式加盟を求めてきた。だがロシアとの戦争が終わらない限り加盟は「不可能」だという点は、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領自身も認めている。

スタブリディスはCNNの番組で、ウクライナがEUに加盟する可能性についても指摘した。

「国土の20%をプーチンに奪われるのをウクライナ国民が嫌がるのと同様に、プーチンも(ウクライナのNATOやEU加盟)を嫌がるだろう。だがこれは交渉だ」とスタブリディスは述べた。

またスタブリディスは、和平案には「両国の間に、朝鮮半島のような何らかの非武装地帯」を設置することが含まれるのではないかと語った。「(非武装地帯をウクライナの兵士が)NATO加盟国の兵士たちと共にパトロールすることになるかも知れない」



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