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結局「ポピュリズム」とは何なのか...世界中が「極端な政党」に熱狂する理由

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月20日 17時20分

もしも当時、ドイツの共産党にカリスマがいたら、今日のEUはなかったでしょうし、もしも同じ右派でも右派ポピュリズムではなく中道の右派政党が政権を握ったら、ドイツの、いや世界の歴史は変わっていたでしょう。もちろん、それら政治家を支持する人々、生み出す社会的背景があることが前提ですが。

「どんな政治的理念をもつ政党が政権を手にするか?」

つまり政党とは、その国のありようも世界の歴史も変える、大きな影響力を持っています。

右派ポピュリズムにある「怖い印象」

極右(ファーライト)という言葉はよく耳にしますが、極左(ファーレフト)という言葉は、過激な左翼運動が盛んだった60年代ならともかく、今はたまに英語メディアで登場する程度です。一般には聞き慣れない──これは世界的な傾向と言っていいでしょう。

「極右は過激だ、危険だ」「極左はテロ行為をする」などと誇張した “レッテル張り” がなされる傾向は、日本のメディアに限りません。思想について誇張して伝えられるために、極端な主張をした政党のほうが目立つとも言えます。

もっとも、「極」右、「極」左というように「極」がつくと、一般には受け入れられない極端な主張とのイメージも与えます。そのため、本稿では、右派ポピュリズム、左派ポピュリズムという表現を用いています。

ポピュリズムとは、国や地域によって受け取られ方に違いがありますが、既存勢力を攻撃するなど国民受けの良い政策を掲げることで国民の人気を得ようとする大衆迎合的な政治運動のことです。

では、なぜ「右派ポピュリズム(極右)は怖い」というレッテル貼りがなされたかといえば、特に欧州では、ナチスの影響が指摘できるでしょう。

国によって異なる右派ポピュリズム政党の性質をあえて乱暴にまとめると、「民族意識が非常に強いナショナリズムで排外主義」。したがって移民政策も反対ですし、グローバル経済やEUのような国際的な経済協力にも消極的。自分たちの宗教や伝統文化を重んじ、家族を大切にします。

この「民族主義で排他的」というところでナチスとの共通点が生まれ、特にナチスの悲惨な経験が色濃く残る欧州では “悪いレッテル” がぺたりと貼られてしまうのです。

現代の右派ポピュリズムとも言われる政党は、議院内閣制や大統領制を前提としており、戦闘的で人権蹂躙を行ったナチスとは大きく違います。環境問題に消極的で内向きではありますが、ある程度の多様性を認めている党もあります。個別に政策を見ていく必要があるでしょう。

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