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米国民がトランプを選んだ以上、貿易相手国は対米依存を脱却するしかない

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月12日 13時20分

中国・蘇州で輸出を待つ新エネルギー車 COSTFOTOーNURPHOTO/GETTY IMAGES

これだけの予算があるのなら、アフリカ大陸全体で太陽光発電を行うなどの緊急課題も容易に賄えたはずなのだが。その一方で中国は、欧米を追い抜いてアフリカ最大の投資国となり、天然資源の確保に躍起になっている。

ウクライナへの全面侵攻や、それに伴う多数の死者、エネルギー危機といった問題は、バイデンがロシアのウラジーミル・プーチン大統領に侵攻の影響を明確に警告し、紛争前にウクライナに近代的な兵器を供与していれば回避できたかもしれない。

しかし、大きな非があるのは欧州諸国のほうだろう。トランプは前回の任期中、ロシアの天然ガスへの依存が招く戦略的問題についてドイツに警告していた。

進むべき道は明確だ。欧州諸国は中国の過剰生産問題を解決する一助として、中国産のソーラーパネルやEVに対する自国の関税戦争を終結させる交渉を行うこともできる。さらに欧州は、アメリカから記録的な量の液化天然ガス(LNG)を輸入する代わりに、自国のクリーンエネルギー生産量を増やすことで主権をいくらか取り戻すこともできるだろう。中国もウクライナ侵攻の終結に向けて、その巨大な影響力をロシアに行使できるかもしれない。

EUも得意分野にもっと力を入れればいい。貿易協定を締結し、それを世界中で二酸化炭素排出量を削減する手段の1つとして活用することも可能だろう。

これらはEUと中国だけの問題にとどまらない。この数十年、人間の生活の主要な面ではおおむね進歩が見られてきたものの、いま世界は後退しつつある。

飢餓に直面する人々は増え、08〜09年の水準に達している。パレスチナ自治区ガザ、スーダン、ミャンマー、シリア、そして今ではレバノンでも戦禍が続き、民間人の死傷者は2010年以降で最も多い。

Why Economists Hate Trump's Tariff Plan | WSJ

善くも悪くも、トランプ政権が不干渉主義の道から外れる可能性は低い。平和や気候変動、貿易自由化に関する主要なイニシアチブを取るとも考えにくい。

この先アメリカがどうなるのかは、全く不透明だ。第2次トランプ政権は、これまでの10年間の延長にすぎないのか。あるいは法外な関税や、アメリカをこれほどまでの経済大国に押し上げた制度の破壊によって、米経済の重要度は低下するのか。いずれにしても、それはアメリカ国民の選択であり、各国はただ見守るしかない。

その間、世界にできる唯一のことは、過度に依存し合わず、良好な協力関係を築く方法を学ぶことだ。

Renaud Foucart, Senior Lecturer in Economics, Lancaster University Management School, Lancaster University

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.

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