ロシア軍、北朝鮮兵含む5万の兵力でクルスクのウクライナ軍占領地に大規模攻勢の構え【マップ】
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月12日 17時50分
ブレンダン・コール、ジョン・フェン
<ロシア軍は、ウクライナ軍越境攻撃の目標の一つだった東部戦線から兵を割くこともなく5万の兵力をそろえて占領地を奪還する構え>
ロシア西部クルスク州で戦闘を続けるウクライナ軍が、ロシア軍による激しい攻勢に直面しているようだ。
ウクライナは8月にクルスク州への越境攻撃を開始。ロシア軍は初動こそ遅れて進軍を許したが、現在は5万の兵力を国境地帯に結集させて大規模な攻勢に備えていると、米ニューヨーク・タイムズ紙が11月10日に報じた。
アメリカとウクライナの当局者(いずれも匿名)は同紙に対し、5万人の中には北朝鮮兵も含まれていると明かしている。
同紙によれば米政府は新たな戦況分析の中で、ロシアは激戦地であるウクライナ東部から兵を割くこともなく国境地帯に新たな部隊を結集させており、ドネツクやトレツク、チャシブヤールやクピャンスクなどの複数の戦線で同時に戦闘を展開することができる状態にあると結論づけた。
ニューヨーク・タイムズはウクライナ当局者の発言を引用する形で、ロシアは北朝鮮の兵士たちに機関銃や狙撃銃、対戦車ミサイルや携行式ロケット弾を支給し、さらに砲撃や基本的な歩兵戦術、塹壕制圧などの訓練を行っていると報じた。
このことは、北朝鮮兵の一部がウクライナ軍の地下防衛拠点への正面攻撃に参加する可能性があることを示している。
北朝鮮兵の投入はロシアとウクライナの紛争に不確実性をもたらしているが、彼らの能力には疑問符がついている。
ウクライナ軍の元兵士で地政学アナリストのビクトル・コバレンコは本誌に対して「北朝鮮の兵士がもたらす脅威を過大評価しない方がいい」と述べている。
「これまでに入っている情報によれば、北朝鮮の兵士は訓練や装備が不十分で、ロシア軍にはそれを補う装備や武器もない」と彼は指摘する。
「また北朝鮮の兵士たちはロシア語が分からず、言語の壁と文化の壁のためロシアの兵士たちと効果的に連携することができていない」
コバレンコはさらに「投入される北朝鮮兵の数は数十万の規模には達しておらず、集中攻撃でウクライナ軍の防衛線を突破できる可能性は低い」とつけ加えた。
「それに北朝鮮のこの世代は戦争を経験したことがない。彼らがパニックに陥って逃げ出す可能性は高い」
米シンクタンク「戦争研究所」は、クルスク州のウクライナ軍占領地域ではウクライナ軍とロシア軍の双方が成果を挙げていると報告。
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