トランプ再登板・関税引き上げで米経済はどうなるか...「日本経済には追い風」と言える理由
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月12日 18時50分
金融業などへの規制緩和、国内エネルギー採掘の促進など、関連する産業における成長期待は高まり易く、今後も最高値更新を続ける株高を下支えし続けるだろう。
トランプ政権の経済政策は、米国の経済成長率に若干のプラスに作用するので、2025年以降も2%を上回る底堅い経済成長が続くと予想される(一方で、中国などは関税引き上げの悪影響を受けて経済減速がより鮮明になる。米経済が堅調でも、世界経済全体では若干マイナスの影響が及ぶ可能性が高いが、この点は別の機会に議論したい)。
インフレ率は2025年半ばから足踏み、米長期金利は高止まりが続く
トランプ政権の政策による米国経済成長率への影響は僅かだが、輸入関税引き上げによって、消費者物価は約0.4%押し上げられると予想される。関税引き上げによる価格上昇は一時的な影響だが、2%台半ばまで順調に減速してきたコアインフレ率の収束は、2025年半ばから足踏みするだろう。
このため、利下げを続けるFRB(米連邦準備理事会)は、2025年半ばから利下げ見送りに転じ、政策金利は4%付近で高止まりすると見込まれる。
既にトランプトレードとして、米国の債券市場では長期金利の上昇が続いていたが、大統領選挙の結果が判明した直後には4.4%台に上昇した。トランプ政権の政策への思惑で、FRBの利下げペースが緩やかになるとの期待が当面続くため、米長期金利の高止まりが続くと見込まれる。
米経済の堅調な成長が続き、米長期金利が大きく低下しないことは、日本経済にとって追い風だ。
一方、ドル円の値動きについては、日本銀行の政策対応への期待が今後強まる。筆者が想定するどおりに12月会合において日銀が追加利上げを行うとすれば、米日金利差の緩やかな縮小が明確になる。このため、ドル円は2025年にかけて140円台に徐々に円高に向かう、と筆者は予想している。
(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)
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