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ミケランジェロもラファエロも!AIで本物と瓜二つのサンピエトロ大聖堂のバーチャルツアーが可能に

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月12日 21時45分

バチカンが公開したバーチャル大聖堂。マイクロソフトのAI技術で作られている REUTERS/YouTube

アミール・ダフタリ
<マイクロソフトのAI技術と最先端の写真測量技術との組み合わせで、世界遺産の「デジタル・ツイン」が完成。これぞ「倫理的AI」の使い方だとローマ教皇フランシスコも絶賛>

ローマ・カトリック教会の総本山であるバチカンとマイクロソフトが革新的なプロジェクトを公開した。バチカンにあるサンピエトロ大聖堂とうり二つのデジタル版(デジタルツイン)だ。人工知能(AI)を使って制作されたこのプロジェクトは、ミケランジェロやラファエロなどルネサンスの至宝を擁する世界最大の教会建築のバーチャル参観を可能にするとともに、建物の保全にも貢献する。

【動画】バチカンが公開したバーチャル大聖堂

バチカン市国で11月11日に発表されたこのプロジェクトは、大聖堂を1カ月にわたって非公開にして、ドローンやカメラ、レーザーを駆使して撮影した40万枚以上の高解像度画像を用いている。

大聖堂のこのデジタルレプリカは、世界有数の歴史的建築物を体験する新しい方法を提供するとともに、バチカン市国の職員が来訪者の流れを把握・管理し、また建物の構造上の問題点を特定するのに役立つ。

「聖年」に向けた偉大なプロジェクト

マイクロソフトで副会長兼プレジデントを務めるブラッド・スミスは、このデジタルツインを「同種のものの中でも最も技術的に高度で洗練されたプロジェクト」と表現した。

このバーチャル大聖堂は、25年に一度の大赦が与えられる「2025聖年」の直前というタイミングで公開された。通常時には日に5万人という来訪者に加え、聖年に年間3000万人以上の巡礼者が訪れると予想されている。

フランシスコ教皇は、マイクロソフトのチームと、開発にあたったパートナー企業各社に謝意を表した。バチカンでの謁見の際に、プロジェクトのメンバーに語りかけた教皇は、「誰もが、本当の意味で誰もが、この偉大な館に温かく迎えられていると感じるだろう」と熱を込めて語った。

サンピエトロ大聖堂のデジタルツインは、マイクロソフトのAI技術とデジタル保存企業イコネム(Iconem)の先進的な写真測量とのコラボレーションによって実現した。

この3Dレプリカの構築には、DVD500万枚分に相当する、22ペタバイトという膨大なデータを必要とした。これによって、大聖堂の芸術作品および建築の高精細なバーチャルツアーが可能になった。

これらの画像は、すでに重要な知見をもたらしている。モザイク片の欠落やひび割れ、さらには、肉眼では確認できない建物の劣化の兆しなどの、建物の構造に関わる損傷が特定されているのだ。

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