朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月13日 16時43分
朝鮮戦争に衛生兵として従軍したジョシは、現地の生活や風景を捉えたスライド写真のコレクションを残した。戦争の傷痕を感じさせる写真もあるが、多くは人々の日々の暮らしに焦点を当てている PHOTOGRAPHS BY VICTOR JOSI
ジャック・ベレスフォード(本誌記者)
<良心的兵役拒否者でライフルの携帯も拒否した祖父──戦争に全く興味がなかった「彼らしい」視点が写真には表れている>
米ミズーリ州セントルイスを拠点に活動するアーティストのダグ・ウィーバー(Doug Weaver)は、祖父ビクター・ジョシと一緒に過ごした時間については楽しい思い出があったが、祖父の若い頃のことはよく知らなかった。
それが一変したのはジョシの死後。朝鮮戦争に祖父が衛生兵として従軍した時期の魅力的なスライド写真のコレクションを発見したのだ。
ジョシは1950年6月27日から55年1月31日まで、朝鮮戦争に従軍した680万人のアメリカ人の1人だった(休戦協定の調印は53年7月27日)。しかし、ジョシの経験はほかの多くの米兵たちとは異なっていた。
ジョシは平和主義者で、衛生兵として従軍した。「戦争の話はしたがらなかった」と、ウィーバーは言う。
「良心的兵役拒否者で、ライフルの携帯を拒否したせいでひどい扱いを受けた。衛生兵として多くの人々が苦しんでいるのを見て、彼らを助けるために最善を尽くした。医師のような専門的訓練を受けていないので、その場その場で学ばなければならなかった。最善を尽くしても命を救えないことが何度もあった」
VICTOR JOSI
ジョシの韓国での体験は、彼が亡くなった後で初めて明らかになった。「祖父が亡くなったとき、スライドは祖父のクローゼットから戦争のメダル、カメラ、全てのカメラ機材と一緒に見つかった」と、ウィーバーは言う。「写真の存在は誰も知らなかった」
VICTOR JOSI
ウィーバーは祖父のことを「詩人であり冒険家」と表現する。大自然の美しさにどっぷりとつかるのが好きで、しばしば馬に荷物を積んで何週間も旅をした。
「晩年の祖父は、オートバイに乗って全米を旅していた。途中で私たちの住んでいる町に立ち寄ることもあった」と、ウィーバーは本誌に語った。
「いつも突然だった。いきなり電話をかけてきて、次の日この町に来ると言うんだ。祖父はいつも私と妻を夕食に連れ出し、私たちの生活についていろいろと尋ねてきた。祖父の好きな話は、森林レンジャー時代のことだった」
祖父のカメラを使う
スライドが撮影されてから約75年、ウィーバーはようやく祖父の韓国での体験を垣間見ることができた。「祖父はあそこで過ごした時間を記録したかったらしい。でも同時に、戦争中であっても美しい何かを探していたようだ」と、ウィーバーは言う。
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