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脱炭素化が「新たな地政学」生む...COP29で「温室効果ガス排出81%削減」表明した英スターマー首相の皮算用

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月13日 16時54分

英国ではコロナ危機やウクライナ戦争の5年間で25%近く物価が上昇した。英国の政策金利は4.75%、長期金利はレイチェル・リーブス財務相の財政拡張で4.53%にハネ上がった。企業も世帯も収入は増えないのにコストだけは膨れ上がるスタグフレーションの兆候に苦しんでいる。

脱炭素化は化石燃料とは違った地政学を引き起こす

スターマー政権を一言で表現すれば「愚直」である。EU離脱を選択した16年の国民投票以降、悪酔い状態が続いた前保守党政権に比べて政策が予測可能な範囲で安定し始めた。英国内企業や外資にとって投資環境が良くなったのは間違いない。

再生可能エネルギーや原子力発電などクリーンエネルギーへの移行は欧州全体としてロシアや中東へのエネルギー依存を減らし、欧州の安全保障を向上させる。しかし長短金利が大幅に低下し、インフレの後遺症が薄まらなければ、新しい産業や雇用を生み出すのは難しくなる。

原子力発電にはウラン、太陽光発電や風力発電にはリチウム、銅、コバルト、ニッケル、マンガン、希土類元素が必要だ。脱炭素化は化石燃料とは違った地政学を引き起こす。バイデン大統領、中国の習近平国家主席ら主要国首脳がCOP29を欠席したこと自体がその複雑さを物語る。

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