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アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな重力の謎

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月15日 14時0分

光は時間をかけて宇宙を移動する。従って遠く離れた宇宙の観測は、何十億年もの時をさかのぼるのに等しい。

研究チームはこの現実を利用して、宇宙の歴史の中で時点の異なる4つの時代(35億年前、50億年前、60億年前、70億年前)の銀河1億個を分析。宇宙の歴史の半生あまりの間に重力井戸がどう変化したかを探った。

論文著者でポールサバティエ大学宇宙物理学教授のイザック・トゥトゥザウスは言う。「我々の発見では、遠い昔、60億年前と70億年前の井戸の深さはアインシュタインの予測通りだった。だが、現代に近い35億年前と50億年前になると、アインシュタインの予測よりわずかに浅くなった」

研究チームによると、宇宙の膨張が加速し始めたのは、この2番目の時期だった。

従って、いずれの謎も理由は同じだった可能性がある。つまり、規模が大きければ重力の作用はアインシュタインの理論とはわずかに異なる可能性がある。

「アインシュタインの予測と測定値とは3シグマの不一致があることを、我々の結果は示している」と論文著者でUNIGEの理論物理学者ナスタシア・グリムは説明する。

グリムによると、「3シグマ」の差は興味深く、さらに研究する価値がある。ただし「アインシュタインの理論を覆すほど大きな不一致ではない」といい、「覆すためには5シグマ以上の差が必要だ。こうした結果について確認または反論するため、遠く離れた宇宙においても同理論が有効かどうかを調べるためには、さらに精密な測定が欠かせない」とした。

最初の調査を終えた今、研究チームはヨーロッパ宇宙機関のユークリッド宇宙望遠鏡のデータ分析に取りかかる。同望遠鏡は昨年打ち上げられ、さらに精密な重力レンズの測定が期待できる。

(翻訳:鈴木聖子)

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