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沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はもはや「味噌汁」ではない

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月16日 10時25分

だから厄介であるわけだが、そこで本書において著者は、さまざまな疑問の背景にある"沖縄の人の考え方"を解説しているのである。いくつかピックアップしてみることにしよう。

「テーゲー」思考のススメ

沖縄文化を表現することばのひとつとして、著者は「テーゲー」を挙げる。「大概」に由来する方言らしいが、つまりは物事を徹底的に突き詰めて考えず、"ほどほどの加減"で生きていこうという概念である。

だが内地の人間にとってそれは、仕事がいい加減など、ネガティブな印象につながりやすくもあるだろう。

 しかし、大城太『最強のうちなーシンキング』では、70点主義者のテーゲーだからストレスが溜まらない、華僑と同様の思考である、独りよがりの完璧を目指して疲れるよりも、スピードを重視して、ある程度の出来の段階で確認を入れて進めるのがネット時代の仕事の仕方と説いている。日本はものづくり国家ゆえか、完璧に仕上げようという意識が強い国民性だと思うが、沖縄のほうが世界感覚に近いのかもしれない。(33ページより)

確かに私たちの心のどこかには、仕事にしてもプライベートにしても「完璧で当然」という思いがあるのかもしれない。

まずは70点主義で行動し、次の展開を柔軟に考え、不足分については人の助けを借りたり、違った方法を考えたりするなどの余地を残すと考えれば、テーゲー主義も悪くないだろう。というよりも、本当は「テーゲーであるべき」とも言えそうだ。

 沖縄では、「3時ぐらいに来るさぁ」という言い方をしばしばする。本土の人が沖縄で仕事をすると戸惑う表現だろう。"ぐらい"ってなんだろうと。この"ぐらい"の幅は意外に広い。10分前に来ることもあれば、30分過ぎに来ることもあるだろう。華僑でも、同様にゆるアポという概念があるらしい。ビジネスだと無責任だと憤慨する人もいるだろうが、時間を守るということが目的ではないはずだ。その時々でビジネスチャンスを逃さないように敢えて時間のゆとりを持たせるわけだ。(34〜35ページより)

なるほど「完璧であること」に縛られすぎず、相手のゆるさを許容できる姿勢があれば、ストレスを感じることも少なくなりそうではある。

なぜマーガリンをバターと呼んでも平気なのか

 沖縄では、食堂で「バターごはん」なるメニューが存在するなど、アメリカ文化の影響もあってバターをよく使用する。しかし、沖縄の人がバターと呼んでいるものの多くが、植物性のマーガリンだったりする。さすがに近年ではスーパーでも本物のバターを目にすることが増えたが、少し前までは黄色いパッケージの「ホリデーマーガリン」が沖縄のバター界の主役だった。(37〜38ページより)

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