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北朝鮮の欧州派兵は第2次朝鮮戦争の前哨戦? 韓国とロシアの最新兵器が砲火を交える日は遠くない

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月18日 19時34分

今年6月に平壌を訪問した際にはプーチンが運転し助手席に金正恩が座ったが、果たして今後どちらが主導権をもつことになるのか? REUTERS

佐々木和義
<欧州の戦線は、極東の軍事均衡に変化をもたらす可能性が──>

2023年9月に金正恩総書記がウラジオストクを訪問して以降、北朝鮮とロシアは急接近を始め、2024年6月には有事の際の相互支援をうたった「包括的戦略パートナーシップ条約」を交わした。これに基づき北朝鮮はウクライナとの戦いが長期化するロシアへ10月中旬に大規模な派兵を行ったという情報が報道された。

こうしたなか韓国国防部は11月5日に行った会見で、ロシア入りした約1万人の北朝鮮兵の相当数がウクライナとの前線に派遣されたとの見方を示した。また一部韓国メディアが、前線に投入された北朝鮮兵士のうち約40人が戦死したという報道については「確認できない」と説明。こうしたなか、韓国軍は翌6日にミサイル発射訓練を行った。

このミサイル発射訓練について韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮のミサイルを想定した訓練で、地対地弾道ミサイル「玄武2C」と地対空ミサイル「天弓」を発射して仮想標的の撃墜に成功したという。

天弓は敵の弾道ミサイルや航空機を迎撃する韓国型パトリオットミサイルで、玄武は北朝鮮全域の目標に打撃を与えることができるミサイルだ。玄武2Cは2022年10月の訓練で発射直後に落下し、火災が発生する事故があった後、改良が加えられたとみられている。

今回の訓練について参謀本部は、北朝鮮ミサイルに対する即時対応能力と態勢を示す訓練と説明したが、北朝鮮軍のロシア派兵と無関係とは言い切れない。北朝鮮軍のウクライナ紛争への参戦は韓国軍にとっても脅威といえるからだ。

70年間実戦を経験していない韓国と北朝鮮

韓国軍は1973年のベトナム戦争派兵から50年間、実戦を経験していない。93年の国連PKO(平和維持活動)参加以降、2004年から08年にはイラクに延べ1万9000人を派兵し、現在もレバノンや南スーダン、ソマリア海域に部隊を派遣しているが、イラクでの任務は工兵や医療支援で、レバノンも偵察と医療支援、南スーダンは農業支援など非戦闘任務が中心だ。ソマリアの任務も海賊の警戒や迎撃で、軍隊と対峙することはない。

対する北朝鮮も朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた1953年から70年間、実戦経験を有していないが、今回の派兵で実戦経験を得ることになる。

北朝鮮正規軍の推定規模は120万で韓国軍は50万。北朝鮮軍の主力装備は旧ソ連製や旧ソ連が設計した旧式のものだが、韓国軍は最新に近い。兵員差を装備の世代差で補う期待があるが、北朝鮮軍はロシアの最新兵器を実戦で体験し、さらにはドローン活用など現代戦を目の当たりにすることになる。

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