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「移民大国」日本で我々は「なれ合い」つつ滅びるのか...ユニクロ柳井氏の発言から考える

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月11日 14時32分

本誌の独占インタビューに応じた尹。任期中に改革を断行する決意をしきりに口にした JEAN CHUNG FOR NEWSWEEK

石野シャハラン(異文化コミュニケーションアドバイザー)
<中国やイランの海外移民と違い、日本人は外国では助け合わず、国内で仲間うちだけで「なれ合う」...これで我々は生き残れるのか?とイラン出身の石野シャハラン氏は問い掛ける>

ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長がテレビのインタビューで「このままでは日本人は滅びる」と日本の将来に危機感をあらわにし、後日の記者会見でも「日本人同士のなれ合いみたいなことは廃止すべき」と警鐘を鳴らした話は、多くの方もご存じだろう。

最初、私はこの「なれ合い」発言に少々反発を覚えた。私の祖国イランの国民は、毎年多くが国外へ移住している。2020年には、全人口に占める国外移住者が2.2%に膨らんだ。移住先の多くは欧米で、それぞれが近くに住み、頻繁に行き来をして助け合っている。

私には日本に住む中国人の友人も多いが、やはりコミュニティーの団結は強い。新参の家族へのサポートはもちろん、母親が日本国外に単身赴任した家族には、近所の同胞たちが毎日夕飯のおかずを持って行き、朝早く家を訪れ登校前の娘の髪を結んでやるなど、温かくサポートしている。

それに比べて海外在住の日本人は、あまり日本人同士でベッタリすることを好まない人が多い。付き合いはあっても、一定のライン以上は踏み込まないことを礼儀とするようだ。だからこそ日本人は現地になじみやすく、評判も悪くないであろうが、冷たいとも思える。

アメリカの大学を卒業して現地でバリバリ働く友人の日本人男性は「英語の会議や入札がよく理解できないから、日本人のよしみで教えてくれ」と言ってくる人は大嫌いだといつも怒っている。

彼のいら立ちも分からないではないが、これがイラン人や中国人だったら喜んで同胞の力になるだろう。日本は少子化で国内市場も小さくなり、企業は必然的に海外に出ていかなければならない。独立独歩の姿勢も素晴らしいが、外資企業や国外で成功するため、そして翻って日本社会が繁栄するためにも、日本人同士の助け合い、融通し合い、お互い様精神は必須だ。

だが、柳井氏の「日本人のなれ合い」は私も大いに感じるところがある。日本は行政でさえも日本人しか相手にしていない。私はインバウンドの旅行社の仕事も手がけているが、残念ながら外国人が無許可でインバウンド客相手の旅行業務に携わっている例が多く見られる。つまり行政によって監督されず、集客や手配に関する法律やルールは無視してやりたい放題なのである。

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