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Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月20日 14時31分

さらにゴマンは「これらの独自データへのアクセスにより、ネットフリックスは個々の作品のパフォーマンスを実に細かく分析している。だから(長い目で見て)ヒットの可能性はあっても、特定の社内基準に達しないプロジェクトはさっさと打ち切りにしてしまう」と言う。

「コンテンツ・サブスクリプション・ビジネスでは効率が命だ。高いパフォーマンスを示すコンテンツを厳選することで、同社は魅力的な作品ラインアップを維持している。そうしないと、競争の激しい市場では生き残れない」

伸び悩むコンテンツをさっさと切り捨てるのは、それだけ失敗作が多い証拠だと考える向きもあるだろうが、そうではないとゴマンは言う。むしろ、それは同社が「高いパフォーマンスのビジネス」に専心している証拠だ。

『ザット’90sショー』 PATRICK WYMORE/NETFLIX

「パフォーマンスの指標が基準に達しないコンテンツを迅速に排除することで、長期にわたって視聴者を引き付けられる可能性が少しでも高い作品にリソースを集中させることが可能になる。それがストリーミング業界の上位企業としての地位を維持する助けになる」と、ゴマンは指摘する。

企業に動画ストリーミングのインフラを提供している新興企業で、テレビ産業向けのエミー賞を受賞しているビットムービンの創業者ステファン・レデラーも、ネットフリックスの決定は全てデータに基づいているとみる。

だが彼は、長い目で見ればそれがネットフリックスの成長を損なう可能性もあると考えている。

「ネットフリックスはデータ最優先で作品の継続や打ち切りを決めているが、結果として中途半端な終わり方になったり、視聴者の目に触れることなくお蔵入りする作品が増えている」と、レデラーは本誌のメール取材に答えた。

ネットフリックスが用いている判断基準の1つに「完走率」がある。レデラーによれば、基本的に「最初のシーズンの最終回まで見てくれる視聴者が50%に届かなければ、継続の可能性は低い」。

冷酷なようだが、広告収入を増やしたい経営側の論理としては当然だろう。しかし、とレデラーは言う。

『限界ダディ』 JOHN P. FLEENOR/NETFLIX

「ネットフリックスが打ち切りの決断を急ぎすぎているという議論にも一理ある。『イカゲーム』のように、あっという間に世界中でヒットする作品は例外であり、実際は時間をかけて視聴者を増やしていく作品もある」

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