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習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー首相が「人権」について問い質すやいなや

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月20日 17時42分

G20の場で首脳階段に向かうイギリスのスターマー首相と中国の習近平国家主席(ブラジルのリオデジャネイロ) Stefan Rousseau/REUTERS

マイカ・マッカートニー
<G20の場で6年ぶりの英中首脳会談が行われたときのこと。イギリスのスターマー首相が中国で収監されている英国籍の民主活動家について懸念を表明したときの中国側の行動に、欧米では驚きが広がった。一方で習近平は、居並ぶ世界の指導者の前で「世界発展支援のための8つの行動プラン」を発表した>

ブラジル・リオデジャネイロで開催されたG20首脳会議で、中国の習近平(シー・チンピン)国家主席と会談したイギリスのキア・スターマー首相が人権問題に言及し始めると、習の側近がカメラの前に飛び出して撮影を妨害したことが映像で明らかになった。

 

11月18日に行われた対談は、2018年以来初めての英中両首脳の直接会談となった。両国の関係は、イギリスの旧植民地である香港における民主主義の弾圧や政治的自由の悪化など、多くの問題をめぐってぎくしゃくしている。

労働党のスターマー政権は、保守党の前政権よりも中国に対して柔軟なアプローチを示し、気候変動など共通の課題に対する協力の必要性をまず強調した。

首相官邸が発表した資料によれば、スターマーはその後習に対し、「見解の異なる分野についても正直かつ率直に取り組む」と述べたという。

ブルームバーグが公開した動画で、スターマーは「わが国の外務大臣と中国王毅(ワン・イー)外相が最近会談し、人権や台湾、南シナ海、香港に対する共通の関心など、それぞれの関心事について話し合ったことを非常に嬉しく思う」と、語った。



その後、「刑務所内で黎智英(ジミー・ライ)の健康状態が悪化しているとの報道を懸念している」と、スターマーは続けた。

香港紙「リンゴ日報」の創業者、黎(76歳)は英国籍の民主化運動家で、現在詐欺罪で服役しており、2020年香港国家安全維持法(国安法)に基づく裁判が再開されたところだ。

 

カメラが習の反応を捉えるべく方向を変えようすると、中国側関係者が現れてカメラの前に立ちはだかり、撮影者を含む報道陣を部屋から追い出した。報道陣が中国代表団の指示に従わざるを得なかった理由は不明だ。

「中国でならともかく、これはブラジルで起きたことだ。にもかかわらず報道陣は中国側に聞いていい質問と聞いてはいけない質問を決められていた」と、ロンドンのシンクタンク英国王立防衛安全保障研究所のアソシエイトフェローで中国アナリストのサリ・アーホ・ハブレンはX(旧ツイッター)に書き込んだ。

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