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選挙予測大ハズレ、トランプに「大惨敗」...凋落した主流メディアに未来はあるのか

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月22日 12時30分

2010年には全米で約1億500万世帯がケーブルテレビに加入していた。それが14年間で35%減少し、統計調査会社スタティスタによれば、今年は6800万世帯まで落ち込んだ。10月末にはケーブル大手コムキャストが、かつて稼ぎ頭だったMSNBCやブラボーといったケーブル局の売却を検討中だと報じられた。

大物キャスターも影響を免れない。CNNのジェイク・タッパーとウォルフ・ブリッツァーは今年、昇給を認められず、クリス・ウォレスは大幅な減給になったと伝えられる。

新聞も厳しい。ピュー・リサーチセンターによれば、新聞の発行部数は2000年から半減した。無数の地方紙が廃刊になるか紙版の発行をやめた。

ブルッキングス研究所の調査では、1989年から2012年までに記者の数が全米で39%減少。18年にはアメリカ心理学会が、日常的に新聞を読む高校1年生は全体のわずか2%だと報告した。

例外もある。いくつかの全国紙は早くからデジタル化に取り組み、逆風を跳ね返した。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は高コストなジャーナリズムを維持するためにクロスワードパズルや料理のレシピ、スポーツ記事などの軽いコンテンツを充実させ、1000万を超える電子版購読者を獲得した。

だが変革にはマイナス面もある。東海岸のリベラル派が圧倒的多数を占める有料購読者に合わせて、紙面を作らねばならなくなったのだ。

「NYTは万人の新聞からコアな読者向けの新聞へと舵を切った」と、実業家のブライアン・ゴールドバーグは批判した。「純粋にビジネスの観点から見れば正しい決断だが、そのせいで世界は荒廃したと思う」

有力紙の及び腰に読者は反発

ギャラップ社の調査でアメリカ人の半数以上がメディアに「大いに」あるいは「まずまずの」信頼を置いていると答えたのは、03年が最後だ。

当時はイラク戦争が泥沼化する前で、ジョージ・W・ブッシュ大統領は60%台前半の支持率を保っていた。経済は停滞を脱し、住宅バブルの波に乗って改善しつつあった。バブルが世界金融危機に火を付けるのは、まだ数年先の話だ。

マーティン・ガリーは元CIA分析官で、現在は政治とメディアの関係を研究している。彼は14年の著書『大衆の反乱と権威の危機』で、主流メディアが失速し始めたのはデジタル情報の爆発的増加がメディアの権威を損ない、その欠点を浮き彫りにした時期だと指摘した。

力のバランスがエリートから大衆へと傾き、「民主主義政府を支えてきたジャーナリズム、学術界、科学界の権威が一斉に疑問視された」と論じた。

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