なぜジョージアでは「努力」という言葉がないのか?...日本の「頑張る」を再考する
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月29日 17時5分
また、ジョージアでは成功者について話すときには、決まって「あの人は昔から小賢しく立ち回っていた」と表現する。世渡り上手であることは日本では必ずしも褒め言葉ではないが、ジョージアでは「うまく立ち回る(ჩალიჩი〔チャリチ〕)」ことは評価され、それも成功者の秘訣だ。
そして、神の存在も大きい。キリスト教が4世紀に国教化したジョージアは、伝統的に信仰深い国である。ジョージア人スポーツ選手が十字を切ったり十字架のネックレスに口づけする光景はよく見られる。
アスリートをはじめトップ同士の戦いでは、人間が理解できない次元で差がつくことは珍しくない。「神以外に説明がつかない」という感覚を私も含めて多くのジョージア人が持っている。
これらの「才能」「立ち回りのうまさ」「神」という3つの要因がうまく組み合わさったときにジョージア人は成功する。ジョージア人オリンピック選手が金メダルを獲得したときには私はスカッとする。それはジョージア流の成功のアプローチも世界で通用するということを確認できるからだ。
日本で生まれ育った私は、日本流の「努力」とジョージア流の「うまく立ち回る力」をバランスよく使い分けることができることを幸運に思っている。
ティムラズ・レジャバ(駐日ジョージア大使)
TEIMURAZ LEZHAVA
1988年、ジョージア生まれ。1992年初来日。早稲田大学卒業後にキッコーマン勤務を経て、ジョージア外務省入省。2021年より駐日ジョージア特命全権大使を務める。共著に『大使が語るジョージア』など。
レジャバ大使のX(旧ツイッター)
今週のニューズウィークにも寄稿です。 pic.twitter.com/9LOmIfpg5E— ティムラズ・レジャバ駐日ジョージア大使 (@TeimurazLezhava) November 27, 2024
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