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資金源も使途も非公開、米連邦政府を舞台にトランプ版「政治とカネ」劇場が始まった!?

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月26日 19時5分

民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州選出)は先日、政権移行プロセスを監視するGSA宛てに書簡を送付。トランプはMOUに署名しないことで「国家安全保障上の緊急事態、公衆衛生や安全保障に関する差し迫った脅威や腐敗のリスクに効果的に対処する能力を自ら損なっている」と主張した。

「現政権との間の合意書に署名することを拒むというトランプの政権移行チームの前例のない姿勢は、次期政権の当局者らが責任を持って統治を行う能力を弱体化させ、米国民を脅かすことになる」

ウォーレンは11月11日の投稿の中でも、トランプは2019年政権移行改善法の下で義務づけられている書類の提出を行っていないことで「既に法に違反している」と非難していた。

上院軍事委員会の上級メンバーである民主党のティム・ケイン上院議員(バージニア州選出)はウェブメディア「ポリティコ」に対し、「(FBIによる)適切な調査が行われなけれない限り」、上院はトランプが指名した閣僚候補の承認手続きを進めないだろうと述べた。

トランプに批判的な弁護士のアーロン・パーナスはXへの投稿の中で、「ドナルド・トランプのチームが政権移行改善法の下で提出を義務づけられている重要な文書に署名しないことで連邦法を回避し続けていることを、人々はもっと糾弾すべきだ」と主張した。

一方、トランプの政権移行チームのブライアン・ヒューズ報道官は、過去に複数の報道機関に宛てた声明の中で、トランプの弁護団が「政権移行改善法の下で求められている全ての合意について、ジョー・バイデン現政権の弁護団と建設的な協力を進めている」と述べた。

ニューヨークにあるジョン・ジェイ・カレッジで政権移行について研究しているヒース・ブラウン教授はニューヨーク・タイムズに対し、トランプが政権移行プロセスの資金提供者を公開していないことへの懸念を語った。

「資金源についての情報が公開されていないと、誰がどれだけの資金を提供しているのか、それらの資金提供者がどのような見返りを手にしているのかが分からない」とブラウンは言う。「誰がその資金を出しているのかを知りたい、というのは米市民の大多数に共通の思いだ」

MOUの署名・提出を行っていないことは、トランプ次期政権がこれまでのところ、新政権樹立に向けてどの連邦政府機関とも面会を果たしていないことを意味する。

ジョージ・W・ブッシュ元政権でホワイトハウスの倫理担当主任弁護士を務めたリチャード・ペインターは、トランプの政権移行チームが所定の書類に署名するまで、トランプが指名した閣僚候補は正式に連邦政府の職員になることはできないと指摘する。

「そうでなければ、彼らは何でも好きなようにできてしまう。利益相反も好き放題だ。外国政府から資金を受け取っている可能性だってある」とペインターはポリティコに述べた。

ペインターはさらに、こう付け加えた。トランプと彼の政権移行チームは「自分たちを選んだ国民に対して、富裕層のためではなく国のために働いているのだと納得させる必要がある」

「MOUに署名しないということは、トランプに投票した労働者すべてに対して『ありがとう。さあ失せろ』と言っているようなものだ」

AP通信は、トランプの政権移行チームによる必要書類への署名は「まだ間に合う」と伝えている。

トランプは2025年1月20日に大統領に就任すれば、主要ポストの候補者に対して、身元調査の結果に関係なく機密情報へのアクセスを認める権限を持つことになる。

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