日本を標的にする「サイバー攻撃者」ランキング 2位は中国政府系グループ...奪われたデータの行方は?
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月27日 18時47分
クマル・リテシュ
<筆者が運営するCyfirma社の調査によれば、日本に対するサイバー攻撃は「急増」している状況。誰が、どんな方法で攻撃を仕掛け、漏洩したデータはどうなるのか?>
前回のコラムでは、日本の経済はその規模と多様性で、サイバー攻撃に狙われやすいと説明した。日本は自動車や先端テクノロジー、金融サービスの極めて重要な拠点として機能しており、日本製品の優れた品質とメーカーの知的財産(IP)は、国家型のサイバー攻撃者や金銭目的のサイバー脅威主体にとって魅力的な標的となっていることにも触れた。
■前回の記事:総選挙を前に「日本企業を狙った」サイバー犯罪がさらに活性化...特に「狙われる」業界とは?
今回は、どんな攻撃者たちが日本を狙っているのかにフォーカスしてみたい。
私が運営するCyfirma社では、サイバー攻撃者たちが集まるダークウェブ(地下のサイバー空間)を遠隔監視し、早期警戒システムを構築している。そこで蓄積されたデータによれば、2021年初頭以降、日本国内で被害が発生したサイバー攻撃キャンペーンを180件検出している。
そして2023年は85件の攻撃キャンペーンが観測され、これまでで最多となった。2023年の6月と7月は、それぞれ22件のキャンペーンを記録しており、傾向として日本に対するサイバー攻撃が急増していると言える。しかもこれらの背後には、例えば、北朝鮮系のサイバー攻撃グループ「ラザルス」が猛威を振るい、さらにメールセキュリティシステムの「バラクーダESG」の脆弱性が悪用されたケースなどが確認されたこともある。
日本で最も活発に活動しているサイバー攻撃グループ
日本で最も活発に活動しているサイバー攻撃グループは、ラザルスと中国政府系サイバー攻撃グループの「MISSION2025(別名APT41)」、そしてロシアの複合サイバー犯罪組織「FIN7」や「FIN11」、「TA504」などが確認されている。
日本を襲っている攻撃者たちのランキング
観測されたマルウェアの上位は、攻撃グループとの相関性が高い。MISSION2025と繋がりのあるマルウェア「Winnti」と「PlugX」や、ラザルスが使う「NukeSped RAT」と「Tofsee」、ランサムウェア攻撃を行うロシアのサイバー犯罪組織が使う「エモテット(Emotet)」。「Cobalt Strike」というマルウェアは非常に効果的なので誰もが使用している。もっとも、検出した合計331個のマルウェアのうち58個が未知の、いわゆるカスタムツールだった。
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