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ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える新型ドローン・システム

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月28日 16時11分

(画像はイメージです) Shutterstock AI Generator

ビラル・ラーマン
<物理空域のドローンを破壊するだけなく、それに先駆けてくる防空システムに対するサイバー攻撃を撃退する統合ドローン・システムが生まれた>

アメリカで開発された最新型ドローン・システムが、ウクライナ前線での試験運用にも成功を収め、ドローン戦争の「ゲームチェンジャー」と期待を集めている。

アメリカの有力テクノロジー企業2社が開発したシステムで、実戦において敵ドローンの脅威を排除すると同時に、戦場の情報収集手段として大きな可能性を示している。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始して以降、ロシア軍とウクライナ軍は双方、ドローンを使って敵の動きを追跡し、兵器を誘導し、攻撃を実行してきた。

そこに新たな飛躍の可能性をもたらしたのが、AI(人工知能)を用いた集団サイバーセキュリティ技術を手がけるアイアンネットと、ドローン対策技術のリーディング企業アステリオン・システムズの提携だ。両社は11月13日、一国全体を保護する防衛システムの構築で提携を結んだ。

この防衛ネットワークは、サイバー上の脅威をリアルタイムで検知するアイアンネットのサイバーセキュリティシステム「アイアンドーム」と、アステリオンのドローン対策技術「ヒッチハイカー」を組み合わせたもので、敵ドローンを無力化するよう設計されている。



この統合防衛ソリューションは、デジタルおよび物理的な脅威に対して強固な防御を提供し、戦場における重要システムのセキュリティを強化する。

ヒッチハイカーは、高速で迎撃する電動ドローンだ。イラン製の「シャヘド」などの敵ドローンを破壊するよう設計されている。高価な「パトリオット」ミサイルのような従来の防空システムに比べて、コスト効率に優れている。

大規模なドローン攻撃の前には、あらあじめ敵の防空システムを無効化しようとするサイバー攻撃が行われることが多い。

だがアイアンネットと技術は、敵がドローン発射の前に仕掛けてくるサイバー攻撃から防空システムを守ることができる。

アイアンネットの高度なサイバーセキュリティ機能が、潜在的な侵入からシステムを保護するとともに、アステリオンのドローン対策技術が飛来する敵ドローンを破壊する。

サイバーと空域の両方の脅威に対する、多層的かつ能動的な防御が提供されるということだ。

サイバーセキュリティ分野の投資家で、アイアンネットの取締役を務めるマイク・ヒューイット退役米海軍少将は、この提携を「ゲームチェンジャー」と評する。そして、両社の提携はサイバーとドローンの複合攻撃に対する国土防衛を一変させるとの見解を示す。



ヒューイットは、セキュリティ情報メディア「ナショナル・セキュリティ・ニュース」に次のように語った。「アステリオンは、ドローンの脅威から国土全体を保護することができる。ドローンを検知し、分類し、追跡し、そして複数の場所から自社のドローンを発射して、それらを破壊する」

「つまり、2段構えの防衛ができるわけだ」とヒューイットは言う。「アイアンネットは、アステリオンのネットワークに対して、サイバーセキュリティを提供する。これは極めて重要だ。ドローン対策ネットワークを混乱させる手段として、何らかのサイバー攻撃が用いられるのが通常だからだ」

「さらにアイアンネットは、このネットワークを利用して敵ドローンにペイロード(攻撃コード)を送り込む機能を開発している」

(翻訳:ガリレオ)



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